TZ 9002:Pierre-Yves Macé "Segments Et Apostilles"(2013)

 電子音楽を混ぜた、生楽器の現代音楽集。

 Pierre-Yves Macéはフランスの現代作曲家。CDでいうとTZADIKでは"Faux Jumeaux"(2002)ぶり。他レーベルの作品も併せると、本盤が6thの自己名義作のようだ。

 本盤では電子音楽と生演奏の融合がさまざまなアプローチで表現される。
(1)と(2)は一曲で、トラックが二本に分けられた。2部構成でそれぞれが複数の楽章を持つ。静謐でセリー音楽めいた抽象的な響きだが、ときおりテープ処理のように時間軸を詰まらせた響きが特徴だ。
 淡々と演奏が続く中、唐突に猛烈な高速でフレーズが動く。テープを早回ししてるかのように。実際にテープ操作かな?空気が不自然に断ち切られ、時間の流れが振り回される。
 確かに刺激的な音像だ。演奏はチェロ、ハープ、フルートに、ツィンバロムの変則的なアンサンブル。和音やメロディもあるが、テープ操作めいた急速な変化がすべてを荒々しく、そして涼やかに変化させた。

 (3)は純粋な電子音楽で、Pierre-Yves Macéの自演だ。ビート性は希薄に、断続する電子音が飛び交う。超高周波から低い音域まで幅広い音程を操るが、例えば大友良英のように周波数そのものの響きが持つ神秘性は、さほど大事にしない。
 いわゆるノイズ志向でもなく、もちろんビートでもない。いわば音そのものを無邪気に操る感じ。周波数を部品に見立て、清涼で抽象的なオブジェを組み上げるかのよう。
 科学実験の過程めいたサウンドは、ひとところに留まらずクルクルと表情を変えた。時に断続する時間感が、彼の好みか。

 (4)は奏者の肉体性を前面に出した。Vc,b,vib,harpのアンサンブルにPierre-Yves Macé自身のピアノ。ここへ「スタジオで操作」ってクレジットが入るあたり、彼の独自性だ。
 ミニマルなフレーズがしだいに変化し、重なっていく。生楽器演奏のはずが、どこか電子音楽めいた緻密な味わいを持つ。
 この曲はメロディや雰囲気自体もロマンティックで、美しい。 

Personnel:
1.Segments Et Apostilles Pt. 1
Cello – Nicolas Carpentier
Cimbalom – Maxime Echardour
Flute – Cédric Jullion
Harp – Esther Davoust

2.Segments Et Apostilles Pt. 2
Cello – Nicolas Carpentier
Cimbalom – Maxime Echardour
Flute – Cédric Jullion
Harp – Esther Davoust

3.Qui-Vive
Electronics – Pierre-Yves Macé

4.Glissement De Terrain
Cello – Camille Giuglaris
Double Bass – Simon Drappier
Harp – Rafaelle Rinaudo
Piano.Studio Processing – Pierre-Yves Macé
Vibraphone – Augustin Muller

こういう演奏風景も大友を連想するが、どうも彼の世界観はおっとりしてる。




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