TZ 7346-2:Masada "Sanhedrin"(2005)

 第一期Masada、正典のアウトテイク。いやはや奥が深い。

 こんな音源あったのか、と発売当初は興奮した。Masadaの第一期はCD10枚がDIWから立て続けにリリースされた。数回のセッションをアルバムに振り分けた形だ。だからまさか、アウトテイクまであるとは思わなかった。しかも失敗や中断でなく完奏テイクの形で。どんだけジョン・ゾーンは仕事が早いんだ。
 
 本質的にCD化10枚との演奏差は無い。重箱の隅をつつけば良し悪しは言えるだろうし、なんらかの不満あるからこそゾーンは本盤に収録テイクを当時は没にしたろう。
 けれども改めて聴くと、Masadaのピュアさがそのまま伝わる好演ばかり。ありがたい。

 当時の写真や警句まみれのブックレット、さらに譜面やその没版などふんだんな画像を収録したブックレットも眺めてて楽しい。ファンなら必携の盤だ。

 収録セッションは7回に分かれる。まず正規CD 10枚との関係を整理しよう。()内が、正規CDの番号。

Ⅰ:Disc 1, Tracks 1-5 Recorded Feb. 20, 1994
  ・・・(1)、(2)、(3)、(4)
Ⅱ:Disc 1, Tracks 6-10 Recorded Jun. 22, 1994
  ・・・(3)
Ⅲ:Disc 1, Tracks 11-13 Recorded Jul. 16-17, 1995
  ・・・(4)、(5)、(6)
Ⅳ:Disc 1, Track 14
Disc 2, Tracks 1-3 Recorded Apr. 16, 1996
  ・・・(7)
Ⅴ:Disc 2, Track 4 Recorded Aug. 1, 1996
  ・・・(8)
Ⅵ:Disc 2, Tracks 5-9 Recorded Apr. 21, 1997
  ・・・(9)
Ⅶ:Disc 2, Tracks 10-15 Recorded Sep. 15, 1997
  ・・・(10)

 つまりMasadaは最初のスタジオ録音で、アルバム約4枚分のセッションを行った。この濃密な一日に、さらに5曲ものアウトテイクがあったとは。これが驚愕だった。同じくアルバム3枚を吹き込んだセッション3回目も同様。この日からも3曲のアウトテイクを本盤は収録してる。

 次に収録曲の観点で見てみよう。本盤でしか聴けない曲は、さすがに無い。
 セッションは発表アルバムと同じ日のテイクで、文字通りのアウトテイク。しかしいくつかの例外が見られる。

 まず完全没曲が、Ⅱで録音の"Nefesh"。Masadaのテイクは残っていない。他には"Bar Kokhba"(1994)でリリースがあるのみ。

 奇妙なのが"Karet"。アルバム(9)で発表済だが、なぜかその後のセッションⅦで再演が、本盤に収録してる。膨大な曲があるMasadaで、この短期間で再演テイクをリリース狙いはちょっと考えにくい。収録済を忘れて録音したか、実際はⅥのアウトテイクか、どちらかだろう。
 同様のケースが"Otiot"。Ⅳで録音し(7)で発表済なのに、Ⅶのテイクが本盤へ収録された。なんかしっくりこない。

 収録時間の長短で見ると、即興ゆえに多少のずれは当然ある。逆に極端な長短の違いが無いほうが興味深い。例えば"Hashmal"なんて、発売テイクと1秒しか変わらない。結構構成がしっかりとゾーンの中で構築されてたと伺える。
 長くても二分くらいの差。「この曲をこんなに長尺で演奏してた!」みたいな違いは見受けられなかった。

 ということで、聴き比べるもよし、新たなMasadaのセッションを単純に楽しむもよし。味わい深い貴重な作品だ。

Personnel:
John Zorn – alto saxophone
Dave Douglas – trumpet
Greg Cohen – bass
Joey Baron – drums

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