TZ 7377:John Zorn "Femina"(2009)

 ゾーンのロマンティックな前衛性が前面に出た佳曲。


 作曲テーマは女性。奏者に馴染の女性ミュージシャンを集めた。さながらTZADIK女性部大集合だ。組曲形式の4部作でLP1枚39分程度にまとめた。CDだともう10分くらい収録時間あってもいいのだが、あえてコンパクトにしたか。

 緩急を淑やかで滑らかに効かせた楽曲は、譜面と即興の混在っぽい。ほとんどは譜面で、合間に即興フレーズをはさんでるかのよう。変拍子とフェルマータの嵐だが、破綻無くきっちりとまとまったアンサンブルなのはさすが。
 ソロ回しでは無く合奏へ軸足を置いた上で、場面ごとに各奏者の見せ場が現れた。
 ナレーションはゲスト扱いのローリー・アンダーソン。本盤ではバイオリンを弾かず、声だけの参加だ。

 ラウンジ的な柔らかい響きながら、小節感やビート性が希薄なため、むしろ現代音楽っぽい味わいが先に立つ。たぶんこれ、パーカッションを全面に出したらポップ性が増すはず。
 ミニマルなフレーズへ、ポリリズミックに折り重なる上物の高音が美しい。

 抽象的な前衛性と、きれいな具象性の双方が現れては消える。互いに場面が入れ代わっていく。二面性の象徴か。チェロを生かした中域の、したたかな力強さも頼もしい。

Personnel:
Jennifer Choi - violin
Sylvie Courvoisier - piano
Carol Emanuel - harp
Okkyung Lee - cello
Ikue Mori - electronics
Shayna Dunkelman - percussion
Laurie Anderson - narration

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