TZ 7342:Painkiller "Talisman" (2002)

 サイケなペインキラー。94年11月24日の名古屋公演を収録した。


 ペインキラー史上初、30分以上にも及ぶ即興曲(1)が本盤の売りとなる。
 緻密なアンサンブルを志向したネイキッド・シティに対比する、即興的でパワフルなトリオがペインキラー。TZADIKが立ち上げ前のバンドなため、本レーベルでは作品が少ない。
 TZADIKではまず、本盤が出た。発掘音源なライブって位置づけか。

 のちに01年に当時の音源集を4枚組で出して、総括。あとは断片的に
"50歳生誕記念シリーズNo.12"(2005)(ドラムはハミッド・ドレイク)、"The Prophecy"(2013)(ドラムは吉田達也)が出たに過ぎない。吉田達也が参加の時点で積極活動も期待したが、特にそれらしき動きは無い。
 もっともジョン・ゾーンにとってペインキラーは過去のコンセプト。常に前を見る彼は、ファンサービスでたまの再結成以外はいまさら積極稼働もないだろう。

 すべてが即興。久しぶりに本盤を聴きかえしたが、記憶よりも抜けのいいアンサンブルだった。
 やたら疾走に固執せず、ゆったりとサイケな楽想もあり。やたらリバーブの効いた音像は、ビル・ラズウェルの趣味?サックスやドラムにもふんだんにリバーブがかかり、ダブ効果を出した。
 ナパーム・デス出身のミック・ハリスはピッチの高いスネアを響かせ、2ペダルで強くキックを踏む。押し引きの効いたメリハリある、かっこいいドラムだ。録音のせいで低音はいくぶん抑えられてるが。
 中盤のサックスが複雑に轟く場面はどう演奏だろう?94年当時のテクノロジーが不明だが、サンプラーかディレイを噛ませて多重奏法か。予想以上に凝った複雑なアレンジが施されていた。

 ビル・ラズウェルは正直なところ苦手、ここでも辛口に聴いてしまう。リフやグルーヴでは無くプロデューサー的に、音像を丁寧にコントロールしてるかのよう。もしかしたらラズウェルがエフェクタでリアルタイムにダブ操作かな?
 サックスはときに、めちゃくちゃにひしゃげた音色で鳴る。素晴らしくサイケデリックな音像だ。

 後半2曲は6分と10分、前半の長尺に比べ今一つバランス悪い。
 (2)はテクニカルなサックス奏者っぷりが伺える。タンギングとキー操作の嵐だ。
 ビルもぶいぶいと勇ましく低音を出し、(1)よりも音的には存在感有り。シンセっぽいのはベースに接続のエフェクタか。この部分ではドラムが聴こえないので、ミックの操作か。映像で見てみたい・・・。ここでもゾーンのサックスは電気処理されている。
 最後はドラムも加わり、賑やかに幕。

 (3)でぼくのイメージするペインキラーが現れる。高速スタート&ストップと、無秩序な疾走。サックスが吹き鳴らされ、リズム隊は堅実に支える。
 ここでもディレイが強調され、ゾーンのサックスはフラジオが緩やかに電子変調される。不思議な響きだ。最後は絶叫。サックスは吹かれ続けてるため、ラズウェルがダブ操作、ハリスがシャウト・・・かな?

Personnel:
John Zorn – alto sax, vocals
Bill Laswell – bass
Mick Harris – drums, vocals

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