TZ 9003:John Zorn "On the Torment of Saints, the Casting of Spells and the Evocation of Spirits"(2013)

 2012年に書かれた室内楽の3作を収めた。凛々しく美しい楽曲たちだ。

 ダリの絵がジャケットに使われた本作は、ジョン・ゾーンの現代音楽集。3曲が収められ、それぞれシェイクスピア、ハロウィン祭、大アントニオスをテーマに作曲された。

"The Tempest"
 シェイクスピア作品(邦題:あらし)そのままをタイトルにつけたこの曲は、パーカッション、フルート、クラリネットの三重奏。flとcl奏者に出会いがきっかけで、一気に2012年に書かれたという。それぞれの楽器に役を見立てて対話形式、のようだ。

 ハイテクニックの複雑なフレーズが浮かんでは消え、激しくも美しく燃える。いがいと聴きやすい部類に入る、現代音楽だと思う。
 特にフルートが高音域でめまぐるしく動く場面こそ、耳をつんざく響きだが。旋律は流麗で、パーカッションの鋭く勇ましい響きがパワフルさを強調した。

"All Hallows Eve"
 3楽章に分かれる。ゾーンの魔術趣味で描かれた楽曲だ。弦楽三重奏で、変拍子と特殊奏法の嵐。小節数も数秘術を意識した。ウェーベルンやシェーンベルクの作品に関連した小節数から、この楽曲は成っている。

 涼やかで幻想的だが安寧とは逆ベクトル。鋭く不可思議に音楽は鳴っている。変則的に、激しく優しく重たく軽やかに。
 この曲もスピード一辺倒でなく、メリハリついており聴きやすさがあり。

 14年11月4日に演奏した映像がYoutubeにあった。


"The Temptations of St. Anthony"
 ピアノと9重奏の室内楽。大アントニウスはキリスト教の聖者で、修道士生活の創始者だそう。副題は"13の不思議な力を持つ聖歌"。CDのトラックは一つだが、実際は13曲に分かれているのかも。
 楽曲は古めかしい神秘性を伺わせる楽曲だ。ソリストであるピアノにはテクニカルに疾走するフレーズこそあるが、全体的には跳躍激しいながらも聴きやすい旋律が続く。 
 
 静寂の厳かとは違う、世俗にまみれぬ凛とした雰囲気が、楽曲のそこかしこから漂う。 
 これも上記と同様、14年11月4日の演奏だ。CD収録とは全く違う機会のコンサートに取り上げられた。


Personnel:

International Contemporary Ensemble:

Claire Chase - flute
Joshua Rubin - clarinet, bass clarinet
Nathan Davis - drums, percussion


Chris Otto - violin
David Fulmer - viola
Jay Campbell - cello


Fifth House Ensemble:

Melissa Snoza - flute
Crystal Hall - English horn
Jennifer Woodrum - clarinet
Karl Rzasa - bassoon
Matt Monroe - French horn
Jani Parsons - piano
Andrew Williams - violin
Clark Carruth - viola
Herine Coetzee Koschak - cello
Eric Snoza - bass


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