TZ 7161:Z'ev "The Sapphire Nature"(2002)

 演奏風景が想像できない、厳かなメタル・ノイズ。

 Z'evはインダストリアル・ノイズ界隈ではベテランのミュージシャン。あまり聴いたことが無く、もっとハードなアプローチかと思ってたため、本盤は新鮮に聴けた。

 暴力的なインダストリアルでは無く、むしろテクノ寄り。金属パーカッションの嵐が、さまざまなアプローチで現れる。複数の音色は幾度も立ち上り、両手足だけで追いつくとは思えない。複雑なリズム・パターンの意味ではない。物理的な演奏風景がイメージ湧かない。

 おそらく本当に金属を叩いているはず。すると音色の切り替わりやパターンが、あまりにもなめらかすぎる。多重録音や編集がかなりありそう。録音は01年の10月から02年11月までかけて、何回も行われたようだ。
 広々したスペースでさまざまな金属をぶら下げ、一発録音で次々に叩いてるとしたら、肉体面でのテクニックや構成力も凄まじい。いくつかYoutubeで観るかぎり、アクロバティックな演奏はしてなさそうだが・・・。
 

 

 本CDには音源データの他に、ライナーノーツと、形成の書(ユダヤ教神秘主義思想、カバラの基本教典の一つ)が記されたPDFも入ってる。膨大な英文のため読めていないが、オカルティックな意味合いを収録曲に込めているらしい。
 16トラックを本盤に収録したが、Z'evは「一気に聴かず、4トラック分づつ分けて聴く」ことをライナーで推奨した。

 たぶん本盤はライナーを細かく読み解きながら、じっくり聴くのが楽しむ秘訣だろう。楽曲ごとに構成の違いは若干あるものの、メリハリは無い。むしろサンプリング録音をパッド操作して、波形編集で作り上げたと思うほど破綻無いノイズ作品だ。

 ビート感が希薄な、金属パーカッションの連打が続く。どっぷりとリバーブかかって膨らんだ世界で轟く響きたち。荒々しく迫りくる緊張感と、無機質な振動と咆哮の価値観がアルバム全体に封じ込められた。

 涼しげな鈴っぽい音色が幾度も現れ、象徴的に響く。

 ノイズ音楽で聴くには具体化が過ぎ、即興音楽と無邪気に聴くには緊迫感が凄まじい。何とも立ち位置に迷う、神秘性が本盤から伝わる。音像が持つ凄みと無秩序さの産むスリルが、本盤の魅力だ。

Personnel:
Z'ev : Percussion

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