TZ 8102:Frank London "Hazonos"(2005)

  ストレートなジャズに、アラブ風味を足して不思議な凛々しさを出した。


 The Klezmaticsのメンバーであり、クレヅマーの演奏で活躍するフランク・ロンドン"Kristallnacht"(1995)をはじめとして、ジョン・ゾーンのソロへ何作も参加しており、古くから付き合いあるようだ。自己名義としても以下のように何枚もTZADIKからリリースしてる。
 本盤はアラブ風味をドップリまぶした力強いジャズ。シンプルな4リズムの編成に鍵盤とバイオリンやチェロで厚みあるサウンドを作った。

[Tzadik Discography]
1997:The Debt
1998:Nigunim
2000:Invocations
2002:Scientist at Work
2005:Hazonos 【本作】
2009:Tsuker-zis

 全9曲で、10分越えの長尺2曲が軸。朗々で厳かなトランペットとボーカルを強調した(1)の幕開けが、(2)で更にパンチ力を増した。粘っこいグルーヴのピアノが美しい。背後にオルガンも聴こえるあたり、セッションは軸でもダビングはふんだんに施してるみたい。コブシまわしまくりのボーカルは、アラブ風だがどこかスッキリと西洋風味に聴こえるのは、タイトなドラムのためか。
 
 (3)では野太い男の歌声をハルモニウムとピアノで、荘厳ほどに熱くがっぷり受け止めた。一転、最初の長尺な(4)ではフリーで、かつ静かに。ランダムなパーカッションの刻みの静けさと、トランペットや弦の艶やかな響きが美しく対比する。
 
 ストレートなモダン・ジャズ風のバラード(5)は、アラブっぽい歌声の異物感がかっこよく混ざった。頼もしさが、いっぱい。ちなみに本盤の鍵盤は全曲、アンソニー・コールマン。TZADIKではお馴染みだ。

 (7)の歌メロはジェリー藤尾"遠くへ行きたい"か?と一瞬思わせるが、もちろん違う。

 センチメンタルなメロディだが弱弱しさは皆無。あくまでも背筋がピンと伸びてる。トランペットのソロも、音を震わせつつしっかりとメロディを吹きあげた。

 (8)は鍵盤のみを伴奏に置いたトランペット・ソロ。オルガンとのデュオか、ハルモニウムの一人多重録音か、どちらだろう。アメリカ西部の荒野か中東の砂漠風景にハマりそうな太さだ。
 そしてアルバム最後(9)は12分の、もう一曲の長尺。前曲からつながるようにトランペットから始まり、若干フリー寄りだがグルーヴ強調のセッションに雪崩れる。

 こうしてアルバム一枚を細かく書くと、丁寧で一本筋の通った構成やアレンジを施したと分かった。普通に聴き流すと、なんとなくサウンドの色合い一発で通してしまう。
 けっこう、地味。渋い男のジャズだ。

Personnel:
Frank London: Trumpet, Harmonium
Anthony Coleman: Piano, Organ, Harmonium
Cantor Jacob Ben-Zion Mendelson: Voice
David Chevan: Bass
Gerald Cleaver: Drums

Daniel Mendelson: Voice
Cantor Simon Spiro: Voice
Dan Rosengard: Keyboeards
Cookie Segelstein: Violin
Tomas Ulrich: Cello

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