TZ 7718:Phantom Orchard "Orra"(2008)

 電子音と生演奏の美しい融合。前衛だが聴きやすい。

 Zeena Parkins & Ikue Mori名義で"Phantom Orchard"(2004)をMegoから発表。アルバム名をバンド名に変えて初リリースした。この名義では今のところ、本盤のみのリリースだ。
 一方でメンバーを増やし、Phantom Orchard Orchestra名義で"Trouble In Paradise"(2012)、Phantom Orchard Ensemble"Through The Looking-Glass"(2014)の2枚をTZADIKから出した。着実に活動は続けている。

 本盤ではバンド名義だが、実際にはパーカッションやヴォイスなどで4人のゲストを既に招いた。要は、のちのオーケストラやアンサンブル名義の予兆が既に本盤で聴ける。

 主役はイクエ・モリの電子音。ビートとサンプリング・フレーズの波がたゆたう中で、ジーナのハープが漂う。かなり即興要素が強そうだが、ゆるやかにビートの持つ牽引力で散漫さは皆無。
 逆にリズミックな起伏も希薄なのがユニークだ。混沌として掴みづらいが、気持ちいい。規則性やストーリーは読めないのに、複雑そうに見せない。

 ゲストはパーカッション奏者がほとんどだが、巻上公一も存在感あるフレーズを繰り出した。楽曲ごとにアレンジやアプローチが異なり、オムニバスを聴いてるかのよう。

 ジーナの強靭なハープの美しさと、イクエの無秩序なリズムが産む幻想的な世界が本盤の魅力だ。一曲を3~5分程度にまとめ、11曲の異なる世界を作った。長尺でダレずに電子音楽とも生演奏ともつかぬ、独特の浮遊性をおいしく味わえた。
 繊細一辺倒ではなく、最後の曲ではハードな味わいでぐいぐい迫りくる。

Personnel:
Zeena Parkins: Electric Harp, Acoustic Harp, Omnichord
Ikue Mori: Electronics

Cyro Baptista: Percussion
巻上公一: Voice, Jewsharp
Josh Quillen: Steel Drum
Maja Solveig Kjelstrup Ratkje: Voice, Real Time Processing

 

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