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Wayne Horvitz 「Dinner at Eight」(1986)

 チープだが抽象的だが聴きやすい、当時ならば先鋭なスタイル。

 ウェイン・ホーヴィッツが85年9月に録音したリーダー作で、リズム・ボックスやシンセのループを元にアンサンブルを組み立てるスタイル。翌年にユニットThe President"The President"で結実するスタイルの前哨戦、もしくは予備実験のような盤。
 なおメンバーもギターとベースのE#と、木管のダグ・ワイゼルマンがThe Presidentへ参加と共通性あり。
 
 デジタルなリズム・ボックスやシンセの響きは軽くて硬い。現在の耳だと安っぽさは否めない。けれども生演奏なジャズ・コンボに打ち込みビートを寄り添わせ、なおかつグルーヴのダイナミズムを失わないコンセプトは、斬新だったろうと思う。
 ぼくは後追いで聴いたけれど、当時ならニューウェーブを踏み台にしたジャズとして、尖ってたんじゃないかな。

 もっともいわゆるフリー・ジャズの青白いスリルまで行かない。ニューヨーク・ダウンタウンシーンとしての、整ってコンパクトながらカッチリまとまったアンサンブルだ。
 中期YMOっぽい味わいもあり。
 この辺が、ジョン・ゾーンと違って興味深い。なお86年ならば、ゾーンは"The Big Gundown"(1986)をリリースの頃。ネイキッド・シティが88年だ。そう考えると、本盤のクールな鋭角さは凄い。

 生演奏を前提ながら、全員参加のバンドっぽさは希薄だ。電子音へ色々な楽器が絡む格好。逆に、鍵盤奏者としてのホーヴィッツは存在感が希薄で、むしろアドリブ・ソロは木管楽器が主体。時にエレキギターというところ。
 ホーヴィッツ自身は即興で打ち込みと格闘を主にせず、コンセプトの体現とプロデューサーの側面が濃い。

 本盤がどのくらい当時に聴かれてたかは知らない。ぼくもずっと本盤の存在は知らなかった。具体的に後のミュージシャンへ、本盤が影響を与えたかは分からない。
 しかし、本盤の瑞々しい斬新さは変わらない。ミニマル・テクノな音像と、生演奏の絡みがあちこちで刺激的だ。

 サックスやドラム、鍵盤はぎこちないながらもグルーヴを作る。いっぽうでE#は振り切って無機質な音列でスピーディに表現した。それぞれのミュージシャンによる技の工夫も面白い。

Track list
A1 Dinner At Eight 1:41
A2 This New Generation 3:24
A3 3 Questions 2:34
A4 Conjunction For C.B. 2:26
A5 True 2:49
A6 Extra Extra 3:28
B1 In Fields They Lay 2:35
B2 Second Line 4:10
B3 Danced All Night 2:29
B4 These Hard Times 4:13
B5 Reprise For C.B. 3:16

Personnel
Synthesizer [Dx-7], Drum Machine [Rx-11], Engineer, Producer – Wayne Horvitz
Clarinet, Tenor Saxophone – Doug Wieselman (tracks: A1, A2, A6, B2)
Electronic Drums – Joey Peters (tracks: A5, B4)
Guitar, Bass – Elliot Sharp(tracks: A1 to A3, B3)
Gazamba, Wing – Chris Brown(tracks: A3, A4, B3, B5)
Engineered and produced September 1985

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