TZ 8179:Deveykus "Pillar Without Mercy"(2013)

 ドゥーム・メタルでのユダヤ音楽。ただしリーダーはトロンボーン奏者。

 今のところ唯一のアルバム。リーダーのDan Blacksberg(tb)は08年頃から様々な編成で自己名義盤を出す、たぶんジャズの人。

 本盤は荘厳なドゥーム・メタル狙いらしいが、リード楽器がトロンボーンなためにハードなエレキギターが二本編成なのに、ふくよかで雄大な雰囲気が漂う不思議な世界観だ。 メタルは詳しく無くWikiでドゥーム・メタルの定義を見たら、「遅さ・ダウナー感を特徴」とある。するとこの不穏なかっこよさはドゥームの定義からずれてないのか。


 全5曲、7~11分の比較的長めな尺だ。うち4曲はトラッドを演奏しており、クレツマーのドゥーム化は選曲からブレていない。
 激しさは聴き進めるほどに増して行く。重厚なテンポでじわじわと迫りくるムードは変わらずに、激しいギターソロが暴れる場面も。すぱっとベースとユニゾンでテーマを吹く(3)での切り返しが痛快だ。生楽器ゆえの生々しさ、トロンボーン独特の振動する音色、それぞれの強みを見事にアレンジへ落し込んだ。

 楽曲ごとにさほど大幅なアレンジ変更が無く、組曲を聴いてるかのよう。ゆったりテンポが、逆に退屈さを誘発する。アップテンポならば、かっこよさへ素直に乗れてたろう。
 しかし頼もしく野太い音像と、激しいエレキギターを慰撫するトロンボーンの生々しさが産む、独特のパワフルさは単純な魅力となった。

 圧巻が二部構成の(5)と(6)。疾走や荒ぶりを剛腕で抑え、ノービートでノイズをばら撒く中間部の凄みは素晴らしい。さらにトロンボーンが空間を貫く醍醐味もたっぷりだ。
 エレキギターもディストーション一辺倒ではなく、ブライトな明るさと歪みを場面ごとに使い分け、決して単調には陥らせない。短めながらドラムとベースの見せ場も、猛然さを内に秘めた重戦車なパワーの色合いを見事に描いた。
 そしてノイジーな楽想を、トロンボーンのふくよかな音色が鮮やかに切り裂く。

彼らのライブ映像がYoutubeにあった。


Personnel:
Dan Blacksberg: Trombone
Yoshie Fruchter: Guitars
Nick Millevoi: Guitars
Johnny DeBlase: Bass
Eli Litwin: Drums

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