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Steve Buscemi's Dreamy Eyes 「Sweetie」(2020)

 人力で80年代テクノを再現かのようなポップス。

 新しい音楽ってなんだろう。懐メロに浸ってるだけじゃダメか。サブスク時代が到来して、昔に聴きそびれたアルバムも手軽に聴ける環境になった。雑誌を読まなくなり新譜の情報に疎いため、つい過去のアルバムばかり聴いてしまう。
 もともと新譜はさほど聴かないスタイルだったが、こう過去ばかり見ていると気がひける。せっかくなら新しいスタイルを・・・と思うが、ヒットチャートを聴いても今いちチピンとこない。
 歳をとって感性が鈍ってるかもしれない。しかし新譜を聴いてもつい、過去の影響を探し比較してしまう。そんな歴史にすがる聴き方なんて、面白くもないのに。
 
 てなわけで本盤。たまたま耳にした。ぱっと聴きで60年代のアメリカン・ポップス。もしくは80年代の日本やアメリカのテクノ・ポップ。70年代風の泥臭さがかすかに、少し90年代のグランジ以降なサイケ・フォークの香りもした。

 スウェーデンはストックホルム出身で男女二人づつのバンド、スティーブ・バスセミズ・ドリーム・アイズが、EP"Four Waters"(2017)を経た初アルバム。活動はキャリアがあり2016年から行っている。
 Steve Buscemiってのはバンド・リーダーでも何でもない。同名の米映画俳優がいるので、彼にちなんだか。
 
 過去の影響を踏まえたオーソドックスで、少しばかり古めかしいポップスを演奏してる。日本かせいぜい米英の音楽くらいしか比較対象が無く、スウェーデンの歴史においてどんな立ち位置かはわからないけれど。

 聴いてて思ったのは、ニューウェーブっぽい乾いた響きと60年代ポップスの混淆。まさにそれが80年代のYMO系テクノ・ポップではないか、と最近思っている。
 2020年になろうというのに、打ち込みやデジタルな色合いは希薄。アナログっぽい滲みと、生演奏にこだわった。もちろんシンセも使ってるけれど。

 たぶん彼らは、真正直にヒット狙いのポップスを素直に志向だと思う。過去からの影響をシャットアウトは不可能だから、彼らのサウンドに先達の残滓をあれこれ探せはするけれど、決してオールディーズ・ファンによるオマージュたっぷりに凝ったアレンジではない。
 
 あまり歌は上手くないが、まっすぐに喉を伸ばし、ハーモニーもきれいに足す。生真面目にして王道な正面展開。とろっと甘さが濃いのはスウェーデン流かな。
 女性ボーカルを基調ながら、全員が歌をかぶせる厚さが彼らの強み。
 可愛らしさや媚びは少なく、ストイックかつ硬質に響かせた。けれんみやギミックに頼らず、真摯にバンド・サウンドで勝負が彼らのスタイルだ。

 曲によってリズム・ボックスは使ってる。広がるシンセに加え、ギターやドラム、ベースのフレーズも打ち込みに変えたら、もろに往年のテクノ・ポップになるだろう。
 だけど彼らは生演奏にこだわる。決してグルーヴィなノリが志向ではない。単純に、不器用もしくは愚直に音楽を紡ぐ生硬さあり。音楽は軽やかなポップスなのにな。


Track list
1 Moon 4:03
2 Stainless Steel 3:32
3 Change of Heart 3:33
4 For Ezra 4:03
5 Destination 3:03
6 Future Is Dance 3:20
7 Set Me Free 3:58
8 Forever 3:17
9 Complications 2:48
10 Intern 4:45
11 Distances 3:32
12 To Define Is To Limit 4:00

Personnel
All songs performed, composed and arranged by Tilde Hansen(b,vo), Siri Sjöberg(synth,vo), Elias Mahfoud(g,vo), Edvin Arleskär(ds)
Mixed, mastered, engineered and produced by Emil Aspegren.
Recorded in Gothenburg, Sweden 2019.
 

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