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Acid Mothers Temple And The Melting Paraiso UFO 「Day Before the Sky Fell in」(2003)

 録音バランスでだいぶ損してる音源。

 アシッド・マザーズ・テンプル宗家の01年9月10日にシカゴでのライブ音源で、比較的活動初期にあたる。結果的に翌日の同時多発テロ前夜の演奏となったため、本タイトルがつけられたのだろう。
 ただし、当然ながら演奏はそんなことを全く考慮していない。
 06年にジャケットを変えて再発もされた。ジャケットの鎌を構えた河端のポーズはアモン・デュールII"Yeti"(1971)のもじり。

 この音源は"We Are Here USA Tour"の一環で、ツアーが始まった頃のライブ。同ツアーで二日前、9/8の音源がIAにアップロードあり。
https://archive.org/details/AMTMPUFO2001-09-08.flac16

 録音はオーディエンスっぽい響き。アンプのハウリングなどもそのまま聴こえている。ただし分離はかなり良く、ブート臭さは薄い。
 アルバム冒頭は相当に淡々かつ混沌としたインプロが続く。津山の歌声は牧歌的からトラッド風味、どっぷりサイケまで幅広いもしくは無節操に展開した。

 酩酊感濃い演奏と思うが、かなりつかみどころ無い風情だ。他にも分かりやすい曲があったろうに、あえてこの無秩序さを選ぶのは、その姿にこそ面白さを河端が感じたか。

 なお再発に当たり曲名が変わった。オリジナルLPでは次の通り。すなわち"La Nòvia"を前面に出した。
A面:gentle Lift off La Nòvia
B面:crash and burned La Nòvia
 だが再発盤で"Speed Guru"などの曲名を明記したことで、いくぶんメリハリがついた。
 (1)は17分にもわたる冒頭の混沌サイケが続き、おもむろに"La Nòvia"へ移動。痛快なる疾走が始まる。音質がこもり気味で爽快性は幾分弱いけれど、シンセのヒヨりが漂う中でギターが奔放にソロを取った。
 音質バランスとしてドラムが前に出て、ギターが目立ってないのが残念。手数多くベースも蠢いており、ギターを強調するミックスが叶えば、だいぶこのテイクの印象は変わったと思う。マスターがこういうバランスなのかも。残念。

 演奏はウネリながらメリハリも忘れず、進行を続ける。コットンと東のツイン・シンセで噴出しあってるようだ。コットンはさほどボイスを出していない。
 津山の弾けるベースと一楽のけたたましいドラムが織りなすグルーヴが、カッコいい。

 (2)は軋むフィードバックめいたノイズから始まる。風切り音がシンセによる飾りか。
 やがてエレキギターが逞しく咆哮し、リズム隊が加わってガツンと始まる。(1)とことなり、こちらはいきなりクライマックス。もっともシンセが翼を広げることで、安易なトップギアに至らず、もどかしく充満する要素もあるけれど。
 エレキギターはうっすらブルージー。しかしサイケな自由さのほうに軸足を置き、フレーズが溢れ続けた。

 ふたたび河端はエレキギターをフィードバック風に唸らせ、ベースがフレーズを組み立てた。やがてエレキギターがリフを弾き始め、"Speed Guru"に突入する。こちらも楽器バランスがつかみどころ無くもどかしいのが難点。
 演奏は力任せに終わらず、緩やかな蠢きも強調して聴きごたえあり。
 だがカタルシスを求める観客向けに、最後の数分でぐいっとテンションを上げている。ごく短めなのがもどかしい。

 この調子でA面もまとめたらポップさが増したと思うが、インプロ強調と分かりやすさ追求、二面性を表現が河端のこだわりでありサービス精神の現われと言える。
 本盤はなるたけ轟音で聴きたい。そうすればマスターのバランスとか細かいことを気にせず、宗家のグルーヴに浸れると思う。


Track list
1 Space Age Ballad / La Novia (Including In E) 28:16
2 La Novia - Speed Guru 18:35

Personnel
Cotton Casino : voice, synthesizer, beer & cigarettes
津山篤 : bass, voice, acoustic guitar, cosmic joker
東洋之 : synthesizer, electric guitar, dancin'n'king
一楽儀光 : drums, kendo master
河端一 : electric guitar, speed guru

recorded by Cortland Green
mastered by 河端一

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