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King Gizzard & the Lizard Wizard 「Nonagon Infinity」(2016)

 ひとつながりがコンセプト。ニューウェーブ色もうっすら香る。

 勢いあるキング・ギザード&ザ・リザード・ウィザードが帰ってきた。8thとなる本盤のコンセプトは、輪廻構造。それぞれの曲は和音などが次の曲に繋がり、最終曲は最初の曲に戻る構成を取った。リピートで聴いてたら、延々と終わらずぐるぐると音世界を彷徨える仕組み。
 5th"I'm in Your Mind Fuzz"(2014)のアイディアをさらに押し進めたかっこうだ。

 過去数作ではポップさが前面に出た傾向だったが、本作はパンキッシュな勢いが戻ってきた。根底はハッピーなサイケの炸裂で、爆音で聴いたらライブ感あふれるパワーを楽しめる。
 (1)などで微分音っぽいアプローチもちらり。このチューニングは次作"Flying Microtonal Banana"(2017)で拡大する。

 さて、本作。ぐいぐい前のめりなノリで、次々と曲を披露した。アップテンポで叩きのめすドラムを軸に、勇ましい。
 ボーカルもファルセットの頼りなさは影を潜め、エフェクターで潰しながらも歌いまくった。

 楽曲の響きも卓で汚しはそこかしこにある一方で、比較的分離良いくっきりした音像だ。
 むしろこのラフな響きは微分音のきらめきとあいまって、アラビックな猥雑さを連想した。
 時に4つ打ちでまくしたてるリズムは、打ち鳴らしっぱなしではない。時に歌を目立たせたりメリハリをつけた。

 止むことなくビートを刻むドラムは、メカニカルなサイケ感覚。"Float Along - Fill Your Lungs"(2013)の長尺(1)で聴けた、むしろヘルシーなほどのグルーヴをアルバム一枚でたっぷりと披露した。
 ただしジャストなビートが続きながらも、機械仕掛けやテクニカルすぎるゆえの冷たさは無い。汗の飛び散る人間臭さを、存分に魅せた。

 こうしてみると、本盤は過去作のアプローチを踏まえながら、ロックな痛快さをシンプルに表現してる。少しばかり硬質に寄り、キンギザとして新境地な風情と最初は感じた。

 アルバムを時系列で聴き進めると、過去数作が理に走ったコンセプチュアルな盤だっただけに、本盤のひとつながりなコンセプトのほうが先に目立ってしまう。
 しかし聴き重ねるうちに、感想が変わった。これは原点回帰でライブのパワーと魅力を、素直に封じ込めた作品だ。


Track list
1 Robot Stop 5:22
2 Big Fig Wasp 4:55
3 Gamma Knife 4:21
4 People-Vultures 4:46
5 Mr. Beat 4:56
6 Evil Death Roll 7:14
7 Invisible Face 3:01
8 Wah Wah 2:54
9 Road Train 4:18

Personnel
Vocals, Electric Guitar, Synthesizer, Organ, Zurna - Stu Mackenzie
Drums [Drum Kit] - Eric Moore
Drums [Drum Kit], Congas - Michael Cavanagh
Electric Guitar, Sitar [Setar], Synthesizer - Joey Walker
Electric Guitar, Synthesizer - Cook Craig
Harmonica, Organ - Ambrose Kenny-Smith

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