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King Gizzard & the Lizard Wizard 「Paper Mâché Dream Balloon」(2015)

 アコースティックなサイケの追求は、意外と硬い肌触り。

 キング・ギザード&ザ・リザード・ウィザードの7thアルバムも、ステュ・マッケンジーの趣味性が炸裂。ハードなアプローチと180度逆を向き、全編でアコースティックを基調の静かな作品に仕立てた。

 バンドとしてアコースティック路線に主旨変更ではない。あくまで思い付きで「やってみた」だけ。だからキンギザは本作以降、アルバムのコンセプトがバンドのイメージを固定せぬよう、次々に作品の発表で韜晦を続けたのかもしれない。
 もしくはライブを主戦場に、アルバムはお遊びの場と位置付けたか。
 
 本盤ではカントリー、あるいはフォークなサイケに直結させないところが、彼らのこだわりであり、独特なところ。平たく言うと、変なところ。
 基本はサイケ、そこへカントリーやブルーズ、フォーク色をアクセントにちりばめた。

 牧歌的に穏やかな風情や、カバーで郷愁感を強引に突かない。あくまでもバンドとして涼やかな風情にこだわった。
 過去作でやりすぎなほどの崩し汚すエフェクタまみれのミックスも、ここでは控えた。クリアかつシンプル、残響感も抑えてスッキリした音像を作ってる。
 
 ファルセットでの気弱げなボーカルはそこかしこにあるものの、浮遊性あるサイケ志向でなく、爽やかめのポップスにまとめた。完全に爽快さへ振り切らず、どっか煮え切らないもどかしさを残すところが、彼ら流。
 分かりやすくコンセプトに溺れず、かすかに独自の引きずるムードやノリをチラつかせた。

 タイトル曲(4)を筆頭に、ポップなメロディが散乱してソフト・ロックのファンなら楽しめる。もう少しハーモニーが夢見心地だと文句ないのだが、そういう甘さはキンギザが望むとこではないみたい。
 もう少しバンド志向、楽器志向で楽曲をアレンジしている。

 録音は「Homes, Sheds, Garages, Apartments, Hotels, Tunnels/Early 2015」とクレジットされた。ビクトリア州マッケンジーの農場で録音が基本らしいが、あちこちでのダビングを重ねて、弄り倒してるようだ。
 作曲はマッケンジーだけでなく、他のメンバーも曲を持ち寄ってる。完全ワンマンでなく、バンド全体で楽しんで作ったのだろう。


Track list
1 Sense 3:30
2 Bone 2:16
3 Dirt 2:50
4 Paper Mâché Dream Balloon 2:39
5 Trapdoor 2:38
6 Cold Cadaver 2:43
7 The Bitter Boogie 4:29
8 N.G.R.I (Bloodstain) 2:25
9 Time = Fate 2:26
10 Time = $$$ 2:04
11 Most Of What I Like 3:17
12 Paper Mache 2:29

Personnel
Acoustic Guitar, Drums, Piano, Vocals, Flute, Clarinet, Double Bass, Electric Bass, Violin, Percussion, Sitar - Stu Mackenzie
Acoustic Guitar, Vocals, Double Bass, Percussion - Cook Craig
Acoustic Guitar, Vocals, Electric Bass, Double Bass - Joey Walker
Drums, Bongos, Congas - Michael Cavanagh
Harmonica, Vocals - Ambrose Kenny-Smith
Piano, Electric Bass - Lucas Skinner
Recorded By [Homes, Sheds, Garages, Apartments, Hotels, Tunnels/Early 2015] - Joey Walker

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