Shhh

90年代の彼を代表する名曲だと思う。多分本人も気に入ってるはず。
    

発端は"The Perfect Beats"ECD監修(1996,ミュージックマガジン社)。当時、かなり詳しく"クラブのヒット"の観点でラップのレコードを紹介したムックだ。
ぱらぱらと読み返してたら、こんな要旨の文章を見かけた。「ラッパーたちの普段聴いてる音楽にテヴィン・キャンベルって答えがいくつかあった」紹介の盤は Tevin Campbellの2nd"I'm Ready"(1993)。懐かしいなー。久々にテヴィンの盤を聴きかえした。

グラフィティ・ブリッジ繋がりで買ったっけ。ECDは本稿でけっこうキツいことを書いている。

アルバムの中にはスロウ・ジャムとは言えないテンポの速い曲も3曲あるわけだが、それはどれもペイズリーパークによるもので(中略)この3曲を飛ばすようにCDをプログラムすれば、甘くせつなく、でもグルーヴもある良質なスロウ・ジャムが堪能できます


ところがペイズリー・パークは4曲を本盤に提供してる。別にECDもプリンスを目の敵にしたわけじゃないらしい。たしかに今聴いても、他の3曲のアップ曲は少々浮いている。
というわけで、今のBGMがこれ。"Shhh"。

なおテヴィンの盤はインタルード抜いて11曲入り。プリンスが4曲の他は、ベビーフェイスが3曲、ナラダ・マイケル・ウォルデンがらみが4曲。あまり素直に"スロウ・ジャム"だって評価しにくい。たしかにキャッチーなメロディだけど、当時は二人とも売れ線狙いの仮想敵って聴き方してたからな。

"Shhh"に戻ろう。ペイズリー・パーク名義で提供のこの曲は、珍しくプリンスがセルフ・カバーした。PrinceVaultによればこの曲、当然のようにバッキングは全てプリンスと関係者。テヴィンは歌を乗せただけ。
テヴィンのバージョンは節回しやブレスの雰囲気まで、プリンス色がどっぷり。デモテープの仮歌をそのままなぞったか。ひたすら甘くトロトロに流れ、女性の喘ぎ声をダビングしてセクシーなムードをたっぷり強調した。

アレンジも冒頭からロマンティックがしこたま垂らされた。
ぶっちゃけてテヴィンはさほど歌に粘っこさは無い。ピッチと音の当て方は正確だが、みゃーみゃー上ずり気味な細い声は、逆にあっさりとこの曲を料理した感あり。

プリンスのバージョンは"The Gold Experience"(1994)で登場する。
年頭から実施中な94年ツアーのアレンジを尊重し、イントロはへヴィに持ってくる。女性の喘ぎ声も頭から入れてきた。エレキギターがドラマティックに盛り上がり、平歌ですっと体を引く感じ。むしろ粘っこさは薄まり、ヘルシーになった。
中盤からシンセのリフをバックにドラムが暴れ、エレキギターがぶいぶい言わす。

つまりプリンスはスローもアップもどっちも行ける、したたかで淑やかな曲に仕立て直した。テヴィンのバージョンは5分弱。プリンスのアルバムバージョンは7分。インスト部分が多いせい。
その後のライブでも6~8分越えとたっぷりギターソロ入れて長めに仕立ててる。うーん、プリンスのバージョンは何回聴いてもかっこいい。
プリンスは幾度もその後のツアーで、この曲を取り上げてる。詳しくは上記のPrinceVaultの当該ページを参照ください。


テヴィンのバージョン。


プリンスのバージョンはYoutubeに無いんだよな。すぐ消させるから。
カバー・バンドによるアルゼンチンでのライブ映像があった。これはプリンスのアレンジを踏襲してるが、ちょっとあっさりしすぎ。もうちょい、粘ってほしい。にちゃにちゃと。
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