TZ 7388:Banquet of the Spirits "Caym: The Book Of Angels Volume 17"(2011)

 アルバムごとに編成や奏者を変えて、第二期Masada"The Book of Angels"の316曲を演奏するシリーズ、第17弾はアラブ風味のリズム・バンド。


 本盤で演奏するBanquet of the Spiritsはジョン・ゾーンと縁が深いシロ・バチスタのツアー・バンドだそう。シロのソロ"Banquet of the Spirits"(2008)に参加したミュージシャンから選抜で結成のもよう。"Infinito"でも同じメンバーが参加し、本盤につながる流れだ。現在もこのバンドでライブを繰り広げてる。

 "The Book of Angels"ではあまり曲が被らないが、本盤収録の"Natiel"は同シリーズVol.13"Mycale"で取り上げた曲を再演した。
 楽曲のアレンジはメンバーのShanir Ezra Blumenkranzが施した。2か所のスタジオで録音され、そうとうにダビングしてる。そもそもShanirが弾くベースとウードが同時に鳴ってるし。
 とはいえアドリブ要素はいっぱい。先にリズム・トラックを作りソロをふんだんに混ぜたようだ。そのためやたら大編成のバンドに聴こえる。アドリブがきれいに流れていきハメ込んだ感が皆無はもちろんのこと。
 シロが今一つ目立たなくて、物足りないけれど。シロは自らのテクニックひけらかしより、複数ビートと強烈なオリエンタル・グルーヴの妙味を聴かせたいらしい。

 チェンバー・プログレにアラブ風味を混ぜてカッチリしたアンサンブル。
 シロのPerにドラム+弦+鍵盤の変則アンサンブルだが、弦はベースとメロディ楽器双方を本盤では演奏しており、違和感は何もない。
 三人の歌声を強調の場面など、演奏力に拘らないバラエティに富んだアレンジも聴きものだ。シロのバスキング風味がShanirのアラビックな要素と混ざり、神秘的なサウンドに仕上がった。

 本来メロディこそが頭に残るはずなのに。本盤聴いててまず印象深いのは緻密なリズムの奔流。ひとつのビートに拘らず、色々と変えてくるため新鮮にアルバムを聴けた。
 もちろんアドリブ・フレーズの素晴らしさも一杯。Shanirは弦を流麗かつダイナミックに奏で、Brianは鍵盤をパンチある勢いで突き進む。

 パーカッションの出番は多いが、無伴奏ソロでなくアンサンブルの一役をかうかたち。無闇に目立たないが、絶対にはずせない立場だ。ウードの無伴奏ソロからリズムが炸裂するイントロに繋がる、(6)から(7)の流れにしびれた。(8)での呟きは日本語っぽい譜割で耳をそばだてた。

 グルーヴ追求の一辺倒でなく、緩急効かせアルバム全体の流れとバラエティさを意識した構成が、本盤のもっともすごいところ。リズムの神秘が溢れてる。 
 ゾーンの盤でタイトなパーカッションを流麗に聴かせるシロならではのサウンドだ。もちろんバンドメンバーの着実なテクニックあってこそ。

Personnel:
Cyro Baptista: Percussion, Vocals
Shanir Ezra Blumenkranz: Oud, Bass, Gimbri, Vocals
Tim Keiper: Drum Set, Percussion, Kamel Ngoni, Vocals
Brian Marsella: Piano, Harpsichord, Pump Organ, Vocal

Banquet of the Spiritsによる来日公演の映像を。09年頃?

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