TZ 7619:Massacre "Lonely heart"(2007)

 ワイルドながら知性を感じさせる即興ロックだ。 繰り返し聴いて、計算づくではない構築度の高さに痺れよう。


 マサカーの4thアルバムは03年1月25日パリと同年6月26日デンマークでのライブ音源を収録した。録音から発売までずいぶん時間が立ってのリリース。
 6/26のほうはRoskilde Rock festivalに出演で、一万人のメタラーに向けメタリカのオープニング・アクトで演奏したそう。

 野性的なビートがしだいに盛り上がり、ジャズよりロックのダイナミズムを意識したインプロだ。リズム・キープしながらも、だんだん燃えてくるドラミングがかっこいい。チャールズ・ヘイワードのリズムはタイトさと剛腕ぶりが良いバランスで炸裂した。
 
 シンセを通したみたいに鋭角に鳴るエレキギターは、抽象的なフレーズと速弾きを交互にばら撒く。フレッド・フリスは前衛ギターが多いイメージあったが、本盤ではたっぷりとハードロックなエレキギターも堪能できる。
 残響少ないぺなぺなの音色で疾走するあたりの、クールな味わいも素敵だ。ひっかくフレーズでまとわりつく高速アルペジオがスピード感たっぷり。
 
 ベースは雰囲気作りが主体。あまり目立たず、役割分担と存在価値が今一つ見えず。ビル・ラズウェルならではの音ってなんだろう。フリスが弾きまくるとき、低音にオクターバー噛ませたような高めの音域で突っ込む場面は、三人のバランスが拮抗して聴き応えある。
 フリスやヘイワードのように手数多いテクニックぶりはあまり出さないが、猛然と低音をばら撒くのは着実な手腕だ。ワウを通しぶわっと水ぶくれした音が浮遊さを誘う。

 たぶん全て即興。つかみどころ無いが、ゆったりとうねる重たさと痛快に疾走するダイナミズムが浮かんでは消える。くっきりした分かりやすいインタープレイと、混沌のアバンギャルドな即興をフリスは自在に行き来する。その奔放さを平然と受け止めるリズム隊がマサカーの魅力か。
 テクニックを超えたタイトなアンサンブルが詰まった。

Personnel:
Fred Frith: Electric Guitar
Charles Hayward: Drums, Melodica
Bill Laswell: Electric Bass

 おまけ。00年ポーランドのジャズ・フェス出演時の長尺ライブ映像がYoutubeにあった。


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