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Ashford & Simpson 「Gimme Something Real」(1973)

 溌剌かつバラエティに富み、彼ら独特の節回しが一杯。

 アシュフォード&シンプソンの1stリーダー作。二人がモータウンで作家活動を始めたのは67年頃。それまでは夫妻とジョー・アームステッドのトリオでチームを組み、65年頃からいくつかの曲を発表していた。レイ・チャールズやアレサ・フランクリンなども曲を採用している。

 そして"Ain't No Mountain High Enough"(1967)を皮切りに、基本は夫婦のみのコンビでマーヴィン・ゲイのデュオ曲を次々と書き、ヒットを連発する。他にもモータウンの各バンドに曲を提供していた。

 だが裏方に収まらず、ワーナーと契約した初めてのLPが本盤。モータウンに数年在籍してキャリアを重ね、順調に表舞台にこぎつけた印象あり。
 もっともヒットって点ではもう少し時間がかかる。本盤も全米チャートでは156位ながら、R&Bチャートでは18位までたどり着き、決して売れなかったわけではないが。

 収録曲はもちろん自作。B3のみJoshie Armstead、すなわちジョー・アームステッドの作品。ガーランド・グリーンが68年に切ったシングル曲をカバーした。
 その他の自作曲でセルフ・カバーがあるかは調べておらず。でもマーヴィンに提供曲は歌い直してない。

 バック・ミュージシャンはアレンジにポール・ライザー、ベースにボブ・バビットなどモータウン時代の人脈も使いつつ、スタジオ・ミュージシャンを並べた。
 ブラスや弦も投入して豪華な作りにしてる。

 フィラデルフィア、もしくはモータウン風よりも西海岸寄りの洗練されたソウルって感じだ。
 最初はバラエティに富んだ曲調を並べた手堅い作品と思ったが、聴き重ねるうちにそこかしこでアシュフォード&シンプソン節が出てきて嬉しくなった。

 このコンビのイメージはパワフルなメロディと雄大な風景、そして独特の粘りつつ洗練された和音感。楽典的な説明はできないのだが、鮮やかながら独特のドラマティックなコードの作りに個性を感じる。
 たとえばA2。サビでヴァレリーが歌い上げる背後で、ずんずんずんと切なく迫る和音感がとても頼もしく懐深い。

 1stソロの気負いはあったにせよ、派手なゲストの話題性に逃げてない堅実な作り。
 B1やB4のようにテンポが速い曲もあるけれど、基本はメロウなミドルやスローで攻めた。
 ちなみにB4もまさにアシュフォード&シンプソン節。この盤で書き下ろし曲のようだが、マーヴィンがデュオでヒットさせた一連の曲を連想する華やかでパンチ力ある曲だ。

 しみじみと、時に高らかに。二人の歌声もばっちり。広い声域で畳みかける歌のうまさも魅力の一つ。作家の余技ではなく、きっちり歌手として確かな喉を聴かせる。
 一回で耳にこびりつくほど、強烈なキャッチーな曲ではないけれど。聴いてるうちに心へ沁み込むきれいなメロディが一杯だ。

Track list
A1 Bend Me 3:18
A2 Time 4:40
A3 Have You Ever Tried It 3:25
A4 Gimme Something Real 6:33
B1 Can You Make It Brother 4:27
B2 I'm Determined 3:18
B3 Ain't That Good Enough 3:12
B4 I Need Your Light 3:41
B5 Anywhere 5:00

Personnel:
Producer – Nickolas Ashford And Valerie Simpson
Vocals – Nickolas Ashford And Valerie Simpson Joshie Armstead
Whistle – Nicholas Ashford
Piano – Valerie Simpson

Arranged By – Paul Riser
Bass – Robert Kreiner (Babbit)
Congas, Percussion – Ralph MacDonald
Drums – Andrew Smith, Charles Collins
Electric Piano – Leon Pendarvis
Guitar – Jerry Friedman, John Tropea
Percussion – David Carey
Saxophone [Solo] – Seldon Powell

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