TZ 8122:Steven Bernstein "Diaspora Suite"(2008)

 デカい音で聴こう。凄みが間違いなく増す。メリハリよりタルッと漂うジャズへ浸る心地よさ。ポリリズムの踊らせぬファンクだ。ポスト・ロックと聴いても面白いかも。


Paul ShapiroのサイドメンなどでTZADIKに数枚の吹き込みあるSteven Bernsteinは、ジャズ・ジャムバンドSex Mobのリーダー。他に自らのユニットでSteven Bernstein's Millennial Territory Orchestraも稼働させている。

TZADIKでは以下3作をリリース、本盤が4作目。ユダヤ人の離散居住を指すディアスポラをタイトルに冠した。メンバーは流動的で、ユニット形式。アルバムごとに編成は異なる。


1999 "Diaspora Soul"
2002 "Diaspora Blues"
2004 "Hollywood Diaspora"
2008 "Diaspora Suite" 【本盤】

 本盤のテーマは即興性の追求。07年にカンサスシティで映画監督ロバート・アルトマンの追悼イベントへ出演がきっかけで、前作のカッチリしたアレンジと対極な音楽のアイディアが浮かんだそう。ジャケットにはアルトマンの言葉も引用記載あり。

 本盤はオークランドのスタジオで07年10月21日、12時から6時までの短時間で15曲が録音された。本盤には12曲を収録。大枠だけ決めて、あとはフリー要素が強いらしい。
 編成からして自由で凄まじい。tp,tb,sax,clのフロント4管。エレキギターが3本にベースが一人、ドラムが二人の大所帯。敢えて鍵盤を入れず、コード感はギターに任せた。

 フリーとはいえスッキリと指揮されており、めちゃくちゃな混沌は無い。吹きながら指揮してるのか、テーマへの入り具合やカウンターのメロディも滑らかだ。たぶん中間部のアドリブをたんなるソロ回しに留まらず、自由度増やしたって事と思う。我も我もとならず、意外にサイドメンはみな大人しい。

 リフの交錯がポリリズミックなグルーヴを産み、ねっとりと粘る音像をバックが作る。シンセ不在だがエレキギターとホーンで緩やかな空間効果を出し、基本は空気の塗りつぶしだ。
 各人のアドリブソロも緩やかに音をまとわりつかせる。アルバム全体のイメージは重たく沈む雰囲気。爽快なアップでは無く、しぶといミドル~スローの印象を受けた。したがって地味。でも、ハマるとじわじわ燃えてくる。

Personnel:
Steven Bernstein: Trumpet
Peter Apfelbaum: Tenor Saxophone, Flute, Qarqabas
Ben Goldberg: Clarinet, Contra Alto Clarinet
John Schott: Electric Guitar
Scott Amandola: Drums
Will Bernard: Electric Guitar Sweeteners
Nels Cline: Electric Guitar
Jeff Cressman: Trombone
Devin Hoff: Electric Bass
Josh Jones: Drums, Percussion

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