FC2ブログ

Nick Lowe 「Nick the Knife」(1982)

 さまざまなアイディアを五目味で詰めた、充実作。

 ロックパイルが崩壊の次に製作した、ニック・ロウの3rdソロ。
 基本の演奏メンバーは、ロックパイルのビリー・ブレマーとテリー・ウィリアムズ。デイブ・エドモンズだけが参加してない。つまりは、そういうことだ。

 他に当時の仲間うちでポール・キャラックやアトラクションズのスティーブ・ナイーブ、ルーモアのマーティン・ベルモントなどがゲスト参加。少し楽曲アレンジは鍵盤の彩りを増した。
 ロックパイル時代の再演"Heart"や、他にも当時の妻、カレン・カーターと2曲、他にも共作が2曲はあるけれど。
 基本はロウのオリジナル曲。ソロ前作"Labour of Lust"(1979)に比べたら、ポップさが濃くなった。

 軽やかに跳ねる"Raining Raining"が派手さは無いが、暖かい魅力を持つ。
 サビ直後に鍵盤が充満して崩れ落ちるようなサイケっぷりな、フォーク寄りの"Couldn't Love You (Any More Than I Do)"が面白い。

 鍵盤は聴こえるものの、当時に流行ってたはずのシンセ使いは希薄。まさにバンドっぽい質感を生かしたアレンジを採用した。
 そのぶん時代性に縛られず、普遍性を持っている。ドラムの音使いなんかは、少し当時の硬い質感を感じるけれど。

 全体的にはかなり、取っつき良いアルバム。ただ、ちょっとパンチ力に欠ける。メロディは綺麗だし、演奏もしっかり鳴る。なんだろう、歌声が弱いのかな。デモテープと言うか、仮歌っぽく聴こえてしまう。
 この歌唱力がロウの限界であり、弱点ではないか。多重ボーカルにしたり、アレンジに工夫はしてる。けれど残念ながら、コステロみたいな独自性まで突き抜けはしなかった。

 アメリカン・ロックやカントリーへの愛情をちりばめつつ、単なる憧憬に終わらず英国風味を足して煙った雰囲気を上手く出してる。
 パブ・ロックのアメリカ音楽礼賛な単純さはいまいち共感できないが、本盤みたいにいったん吸収および咀嚼の上で表現してくれたほうが、オリジナリティあって素直に聴ける。

 ほとんどの曲を2分台にまとめて、LPなのに12曲も詰め込んだ。10曲が一般的な時代なのに、お得な印象を受ける
 味わい深い曲が多く、聴き込みがいあるアルバムだ。


Track list
A1 Burning 2:04
A2 Heart 3:41
A3 Stick It Where The Sun Don't Shine 3:40
A4 Queen Of Sheba 2:30
A5 My Heart Hurts 2:40
A6 Couldn't Love You (Any More Than I Do) 2:35
B1 Let Me Kiss Ya 2:56
B2 Too Many Teardrops 2:33
B3 Ba Doom 2:19
B4 Raining Raining 2:46
B5 One's Too Many (And A Hundred Ain't Enough) 2:34
B6 Zulu Kiss 3:22

Personnel:
Nick Lowe - vocals, bass, guitar, backing vocals
Bobby Irwin - drums, backing vocals
Terry Williams - drums
Billy Bremner - guitars
Martin Belmont - guitars
Aldo Bocca - guitars, drums on "Heart", engineer
Neill King - piano and Hammond organ, audio grip
Carlene Carter - piano and Hammond organ
Steve Nieve - piano and Hammond organ
Ben Barson - piano and Hammond organ
Paul Carrack - piano and Hammond organ
James Eller - more bass

関連記事

コメント

非公開コメント