TZ 7305:John Zorn "The Classic Guide To Strategy - Volumes One & Two"(1996)

 アイディアとテクニック優先。音楽的にはそうとうにエッジの立った一枚。難解ではないが。


 83年と85年にそれぞれ発売されたLPを96年にCD一枚にまとめた。2枚目から"Yano Akiko"が収録時間の関係か、CDに収録されておらず。Youtubeで聴くしかない。
https://www.youtube.com/watch?v=n8c09oTuHUE
 コンセプトはリード楽器の究極、マウスピースのみを主体の音楽だ。音程違いのマウスピースをずらりと並べ、さらにバード・コールを用意。ライブ演奏もしていたという。さらに水を入れた鉢にマウスピースをつっこみブクブク鳴らす音も混ぜていた。といってもぼくはこの編成のライブを見たことないのだが。
 
 実際にはネックや楽器までつけた音っぽい場面も少し聴こえるのだが、主役はあくまでマウスピース。一つの音を出し続けるだけでなく、口か喉を締めて音程を変えたりも。何カ所で聴ける、音程をぐいぐい上下させる笛みたいな響きに驚愕した。どうやって出してるんだ。タンギングの妙味もあるが、基本はリードの振動だ。

 本盤は一発録りでなく、細かく編集もしくはテープを止めながら録音したっぽい。ヘッドフォンで聴くとよくわかる。リバーブの消え具合や、空気感が音の切れ目で明確にすぱすぱ切り替わる。パンチインかな。
 持ち替えの手間すら惜しむように、次々に新たなマウスピースの音が轟く。特に作曲はされて無さそうで、即興的に音が続く印象だ。
 
 LP1枚目は片面1曲づつ、20分弱の長尺が2曲。2枚目では日本人名をあてはめ、7曲が収録された。選ばれた日本人は、青山ミチ、エノケン、克美しげる、近藤等則、戸川純、イクエ・モリ。(これに加えLPのみで、矢野顕子)いがいと脈絡のない人選だ。

 前者3人は歌手として日本マニアのゾーンが選択したんだろう。むしろ克美しげるは犯罪者のイメージが強く、青山ミチも今回調べて初めて知った。覚せい剤で芸能界追放されたらしく、ぼくの世代ではなじみが薄い。エノケンもこの二人に並べるには、なんとなくバランス悪い気がする。
 近藤等則のみポカンと浮いた人選。イクエ・モリと並んで共演者仲間、のくくりか。戸川純もアルバムでは関連性薄いが、LPだと矢野顕子と並ぶ。世代的にはちょっと離れてる気もするけど。
 
 マウスピースを使いこなす妙味に耳を澄ますと、本盤は刺激的だ。ヘッドホンでどんどん切り替わる録音風景を想像しながら聴くのも楽しい。とはいえ音だけで予備知識無いと、高音程でさほど展開の無い音色の連発であり、聴いて楽しむには少々敷居が高い。

 繰り返し聴いてテクニックの凄さを実感すると面白いのだが、そこまで薦めるべきかは・・・悩ましい。

Personnel:
John Zorn :reeds,bird call,etc.

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