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Neil Young 「Peace Trail」(2016)

 奔放さが奔出した。無造作な逞しさが味。

 ニール・ヤングの36thスタジオ・アルバム。歳を重ねてなお、ニールは創作の手を休めない。この時代はカリフォルニアのカントリー・ロック・バンド Promise of the Realと組んで演奏していたが、本作は彼らを起用してない。
 同年6月に"Earth"でPromise of the Realとの前年ツアー音源のライブ・アルバムを出し、半年後には本盤をリリースした。

 まずベテランのジム・ケルトナー(ds)と、世代は一回り下がる英国人ポール・ブッシュネル(b)のスタジオ・ミュージシャンを起用。
 直近の活動と連続性は全くない。曲を作ってミュージシャンを選んだのか、それもよくわからない。セッションに留まらず、新しい曲を並べてアルバム一枚を作り上げるニールの集中力が凄まじい。
 なお歌と言うより語り掛けるようなタッチの曲もいくつか。メロディでなく詞先で作ってるのかもしれない。

 本盤はベーシック・トラックを4日で録音終了して、そのあとに70年代からニールと共演歴のあるジョー・ヤンキーがエレクトリック・ハーモニカやオルガンをダビングした。 この歪んだハーモニカがブルージーで、とても良いハードな味わいを加えてる。
 パーカッションはニールがダビングだろうか。
 あとは最終曲でウィリー・ネルソンの息子ミカ・ネルソンも声でクレジットあり。

 エレクトリック・ハーモニカが無ければ、とてもフォーク寄りのアルバム。しかし(10)で加工したボーカルを色々散りばめたり、多重ハーモニーをかぶせたり。最新鋭の色合いを付与も忘れてない。
 
 リード・ボーカルも後かぶせか不明ながら、もしかしたらベーシックの段階でニールは録り終えてた可能性もあり。(8)ではオート・チューンを通した風の、ちょっとケロった声でハーモニーが加えられているが。(1)にも同様の手法を使っていそう。
 とはいえ基本は作りこまず。初期衝動のままに作品を仕上げた。

 どの曲もそれほど長くなし。(1)や(9)はエレキを弾いてるが轟音志向ではない。アルバムを通してだと、アコギが多い。
 意外とドラムはぺなぺなと録音され、チープさも強調か。そこへ歪みまくったハーモニカで、太さと汚しを施す趣向だ。
 轟音で聴くならともかく、普通の音量だと武骨さが目立つ。演奏もかなりラフだ。

 (1)をしっかりロックに作りこみ、(10)は遊びを色々と。あとはデモにハーモニカなどをかぶせて、あっさりと作った。
 しかし安易や手抜きとは言わせないのが、ニールの真骨頂である。

 バラエティさと真逆の姿勢。一つのアイディアをそのままアルバムにまとめてる。
 ベテランならでは、ニールならではの融通無碍な作風だ。このセッションから数曲抽出して、他のセッションと合わせるって発想はせず、そのまままとめる大胆さがにくい。

 なお、ニールは全く止まらない。約9ヵ月後にはギターやピアノも全て自分で演奏した、76年の未発表ソロ"Hitchhiker"(2017)を発掘した。
 そのうえ同年12月に"The Visitor"をPromise of the Realと組んでスタジオ録音を発売。
 全く止まらない。その後も発掘音源や新譜が色々あるし。ぼくは断片的にしか聴いてないが、ニールのファンは追っかけるのに嬉しい悲鳴を上げっぱなしだな。


Track list
1 Peace Trail 5:32
2 Can't Stop Workin 2:45
3 Indian Givers 5:41
4 Show Me 4:02
5 Texas Rangers 2:30
6 Terrorist Suicide Hang Gliders 3:17
7 John Oaks 5:12
8 My Pledge 3:54
9 Glass Accident 2:53
10 My New Robot (Home Host-Bot) 2:33

Personnel:
Lead Vocals, Guitar - Neil Young
Bass - Paul Bushnell
Drums - Jim Keltner
Electric Harp, Pump Organ - Joe Yankee
Vocal Group - Micah Nelson, Young, Bushnell on 10

Producer - John Hanlon, Neil Young

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