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Bobby Bland 「After All」(1986)

 温かくて寛げる、汗臭くダンディなブルーズ。

 極上の二番煎じ。
 ボビー・ブランドがマラコへ移籍第二弾のアルバム。ライブ盤っぽいジャケットだがスタジオ作。滑らかでゆったりした曲を集めた。前作ほどキャッチーで派手な曲はないが、聴くほどにしみじみと味わい深い盤だ。

 ジャジーな面持ちで歌われる曲は、保守的で穏やかなもの。挑戦や激しさを敢えて抑えた仕上がり。刺激は少なく、安心して聴ける客層を狙ったもの。20年前には本盤の良さは分からなかった。この歳になって、くたびれた気分を癒してくれるブランドの歌声が沁みる。
 
 太いドラムの音色を軸に、生演奏でグルーヴした。エレキギターの軽やかなオブリが彩りで鍵盤は控えめ。ブラスと弦で華やかに曲を飾る。
 うがいシャウトもときおり出るが、あくまで味付け程度。観客サービスに留めて、歌い方の主軸には置かない。

 プロデュースはトミー・コーチとウルフ・ステファソンの双頭体制は前作"Members Only"(1985)同様。
 他にもブラスと弦のアレンジはハリソン・キャロウェイ、演奏メンバーもラリー・グリフィン(b)、ジェイムズ・ロバートソン(ds)、キャーロン・ウィスチェット(key)の体制は前作から継続した。マラコのハウス・バンドなんだろう。

 しかしギターはジミー・ジョンソン以外、全とっかえ。前作は合計3人のギターが弾き分けたが、本盤では総勢5人がクレジットされた。 
 あからさまにギターが強調ってわけじゃない。ギター中心の分厚い音でもない。
 オブリ命で、いわゆる泣きのギターに拘ったのかもしれない。

 派手な曲は無いと冒頭に書いたが、曲は粒ぞろい。低くねっとりと歌いあげるブランドの喉は抜群に魅力的だ。A面最後の語りかけるような優しさも愛おしい。
 アルバムの仕上がりは前作のほうがメリハリあるけれど、本盤も素晴らしく完成度が高い。
 ロートル再生工場みたいな否定的なイメージもマラコにはあるが、徹底的に保守性へこだわって濃密な作品を作る手管は確かだ。

 地味だけど、繰り返し聴いても飽きない。保守的と言ったが、バラード連発の安易な作りではない。しっかりグルーヴを保ち、ジワッと胸を焦がす。
 たとえばB1。エレキギターがぐいぐいソロを取り、ブランドは逞しく甲高い歌唱で情熱的な雰囲気を醸し出した。
 本盤を聴いたときに、低音から高音までレンジの広いブランドの歌声を初めて実感した。


Track list
A1 Second Hand Heart 3:45
A2 After All 3:23
A3 Walkin' & Talkin' & Singin' The Blues 3:54
A4 I Hear You Thinkin' 4:36
A5 There Ain't No Turnin' Back 3:30
B1 Love Me Or Leave Me 3:40
B2 Angel 4:45
B3 Sunday Morning Love 5:46
B4 I Stand Accused 5:00

Personnel:
Producer - Tommy Couch, Wolf Stephenson
Arranged By [Strings & Horns] - Harrison Calloway
Backing Vocals - Catherine Henderson, Jewel Bass, Thomisene Anderson
Bass - Ray Griffin
Drums - James Robertson
Guitar - Bernard Jenkins, Jerry Puckett, Jimmy Johnson, Larry Byrom, Wayne Bennett
Keyboards - Carson Whitsett

Strings - Bob McNally, Claudette Hampton, Janet Dressler, John Frantz, Mark Hatch, Mickey Davis, Patrice Evans, Peggy Plucker, Steve Dressler, Tim Mika
Horns - Charles Rose, Harrison Calloway, Harvey Thompson, Ronald Eades, Wayne Jackson
Flute - Cybil Cheesman

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