TZ 7311:John Zorn "New Traditions in East Asian Bar Bands"(1997)

 ジョン・ゾーンのコブラ(1984)以降に新しく作ったゲーム・ピース3作を収めた。彼のゲーム・ピースはライブだと面白いが、盤だと正直魅力が伝わりづらい。しかし本作は音楽として、非常にスリリングで強力な魅力を味わえる傑作だ。奏者は全て、ゾーンに親しいメンバーを集めた。


 2ギター用のHu-Die(1986)、2ドラマー用のHwang Chin-Ee (1988),2鍵盤用のQue Tran (1990)を収録。録音もほぼ作曲時に行われており、10年越しでアルバム化されたことになる。Hu-Dieの録音は、なんとシミーディスクのクレイマーで、個人的にとてもワクワクする。
 
 どの曲も数年後にもう一度録音したってクレジットあり。もしかしたらベーシック演奏を先に録音し、改めて数年後にナレーションを録音かもしれない。
 そう、この3曲は全て女性ナレーションが入っている。Hu-Dieは中国語、Hwang Chin-Eeは韓国語、2鍵盤用のQue Tranがベトナム語。
 ブックレットにテキストの翻訳は載っているが、ただでさえ見づらいレイアウトの上に文字が小さく、めんどくさくて読めていない。したがって朗読の内容は分からず。すみません。

 三曲ともゲームのルールは全く想像できない。ファイルカード風に突飛な場面展開がたまに行われるため、なんらかのきっかけかルールが奏者間で施されてるようだが。三曲とも違うルールなのか、同一ルールを編成変えて演奏かも不明。ただ一つ言えるのは無機質な楽曲の上に、オリエンタルな女性朗読が載っただけで急に楽曲がピシッとしまったこと。
 言葉と音楽の融合が演劇的なドラマティックさをスムーズに演奏した。

 "Hu-Die"はテキストをアート・リンゼイが書いた。朗読のZhang Jinglinは経歴が不明だ。フリゼールとフリス、即興二巨頭の生々しいインプロが全編を覆う。左がフリゼール、かな?
 静かな場面からハードな響きまで振り幅広い。若干の対話性も感じるが、ストーリーあるのかは読めない。完全抽象からサントラ的親しみやすさまでの咀嚼力と、中国語のエキゾティックさの混淆が本曲の味わいだ。
 
 "Hwang Chin-Ee"はテキストを韓国の詩人My-ung Mi-Kimが書いた。朗読のJung Hee Shinも経歴不明。本盤の朗読者はプロの役者とかで無く、NYに住むゾーンの知り合いだろうか。
 演奏はバロンとベネット。ベネットが左、かな?

 ビートの連続でなく、やはり断片や場面展開のメリハリは激しい。比較的アフリカンで勇壮なリズムに空気が揺れる。そこへ時に叫ぶ演劇的な朗読が効果的に乗った。ときどきカツンと硬質な響きがする韓国語のエッジが効いている。

"Que Tran"はアメリカの詩人Lin Hejinianがテキストを担当した。朗読のAnh Trancはやはり経歴を特定できず。
 奏者はコールマンとホーヴィッツ。左右どちらかは区別できない。
 どっぷりエコーをかけた幻想的な朗読は、時々の破裂音がアクセントで柔らかな響き。比較的中国語に似ている。サウンドもあまり派手に展開せず、密やかで静かな電子鍵盤の響きが漂った。

Notes
'Hu Die' (1986), recorded 1986 and 1990, mixed 1990, narrated in Chinese.
'Hwang Chin-ee' (1988), recorded 1988 and 1996, mixed 1996, narrated in Korean.
'Qu? Tran' (1990), recorded 1992, narrated in Vietnamese.

Personnel:
On 'Hue Die'

Bill Frisell: Guitar
Fred Frith: Guitar
Zhang Jinglin: Narrator

On 'Hwang Chin-Ee'

Joey Baron: Drums
Samm Bennett: Drums
Jung Hee Shin: Narrator

On 'Que Tran'

Anthony Coleman: Keyboards
Wayne Horvitz: Keyboards;
Anh Tranc: Narrator

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