TZ 8306:John Zorn"The Mysteries"(2013)

 全体的におっとりと静かで神秘的な楽曲の一枚。感情を押さえ崇高さを漂わす。
 グノーシス・トリオの2作目。トリオと言いつつジョン・ゾーンは演奏に参加していない。あくまで疑似的なバンドだ。グノーシス主義から取られたバンド名はゾーンのオカルト趣味であり、音楽コンセプトのヒントだろう。ミニマルでポリリズミックな展開が本盤の味わいだ。テーマはきっちり譜面で、中間部はパターンのみ決めて即興の構造と想像する。


 全10曲、ビブラフォンとハープの上で、伸びやかなフレーズをビル・フリゼールが重ねていく。数本のギターをダビングし、トリオ編成ながら音はもう少し分厚い。波打ち、漂うフレーズが頭をずらしつつ漂う。
 ギターのアドリブも派手に拍を食わず、どこかメカニカルで整然たる譜割を維持した。ゆったりしたフリゼールらしいギターが、実にアンサンブルにハマってる。

 前のめりに畳み掛けるギターをスクエアなハープが受け止め、ビブラフォンはゆったりと鳴った。三者三様の響きがこのアンサンブルの妙味。さらにダビングされたギターが、揺らぎに多層性を加えた。コロコロと弾むハープとビブラフォンの重奏も美しい。
 
 ハープのアルペジオと文字通り三人の重なり合う音で、和音が浮かんでは消えていく。コード弾きでなく、連なりで和音感を出した。低音楽器がおらず、ベースを弾く役がコロコロと変わる。それも音像の浮遊性を強調に一役買った。

Personnel:
Carol Emanuel: Harp
Bill Frisell: Guitar
Kenny Wollesen: Vibraphone, Bells


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