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Major Lance 「The Monkey Time」(1963)

 ダンス系の懐メロに聴こえてしまうが、後年のカーティス色も極薄で漂う。

 メイジャー・ランスはシカゴ・ソウルとして60年代にヒットを飛ばしながら、逆にリズム系の曲で売れたために古臭くなり、あまり顧みられることが無い。ノーザン・ソウルは「レア盤至上主義」でこの手の懐メロは再評価が低いように見える。ノーザン系クラブの現場では、ランスがガンガンかかってるのかもしれないが。

 彼の作品はカーティス・メイフィールドが多くかかわっているけれど。いわゆるニュー・ソウル時代はもちろん、インプレッションズ時代とも少々異なる。売れ線系だから。
 従ってカーティスのファン以外は、やっぱり聴かれない。
 つまり彼の現在の評価はカーティスの文脈で聴くけれど、懐メロで終わってしまう。かくいう僕も、同じ聴き方しかしていないのだが。
 ポップで爽やかで健全で、軽いなーと思ってしまう。でも聴き始めたら、華やかで耳ざわり良いのも確か。
 
 この時代はアルバムよりもシングルがメインの時代に見える。最初にランスを聴くなら、ベスト盤のほうがいい。今回、LP単位で聴いてみたら面白かった。
 
 1stはマーキュリーから"I've Got A Girl"でシングル・デビュー。たちまちOkehに移籍して翌62年にシングル"Delilah"(1962)年で再デビュー。翌63年に続くシングル"The Monkey Time"もヒットして本LP発表に至る。とんとん拍子に進んでる。
 代表曲"Um, Um, Um, Um, Um, Um"は翌年、本盤には入っていない。

 本盤はA1,A2,A6,B3,B6がカーティスの曲。A6"Delilah"、A1"The Monkey Time"双方ともカーティスの曲だが、人にはこういうふうなリズミックなポップスもかけるんだな、ってのが最初の印象だった。
 才能を仕事モードにするだけの話で、自らの名前を冠すならもっとアーティスティックなことをしたかったのだろう。

 A6"Delilah"はセンチメンタルさとR&Bがきれいに混ざって好き。A1やツイストのA4やB1みたいなリズム系は、どうしても古臭さを感じてしまう。
 もっともランスの、あまりひねらない歌声はアップテンポの方が似合う。

 逆にB3"Soldierboy"なんてインプレッションズに通じるメロウさがあって、シングルではないが良い曲だ。ゴスペル寄りのムードと、兵隊行進につなげるマーチ風のリズムが勇ましく混ざった。
 いっぽうでA3のマーチっぽさは、カーティスの曲ではないがダンス寄りのムード。たぶんLPとして、ダンス系かつメロウさもぱらりってコンセプトで作ったのだろう。
 なんだかアルバムはスウッと聴ける一方で、引っ掛かりに欠ける。うーん、塩梅が難しい。

 他に同時期にヒットしたマーヴィン・ゲイのシングル曲A5やB2を、すかさずカバーもあざとい。LPの埋め草っぽい選曲ではあるが、マーヴィンほど滑らかではないけれど、ときおりコブシを効かせるランスの歌いっぷりも一聴の価値あり。
 録音のせいなのか、ちょっとリズム隊がしょぼく聴こえてしまうのが難点。

 しっとり浸るバラードや、メリハリは敢えて抜いた。ダンサブルさを生かし、切なさをパラパラ。いわば時代の仇花的に、やっつけ気味に作ったアルバム。
 普遍的な趣きには欠けるが、使い捨てと割り切った儚さを潔く目指してる。流行曲ってのは、そういうものかもしれないなあ。


Track list
A1 The Monkey Time 2:46
A2 Mama Didn't Know 2:42
A3 Watusi 2:39
A4 The Bird 2:00
A5 Pride And Joy 2:18
A6 Delilah 2:11
B1 Land Of A Thousand Dances 2:25
B2 Hitchhike 2:18
B3 Soldierboy 2:30
B4 Just One Look 2:20
B5 What's Happening 2:28
B6 Keep On Loving You 2:04

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