TZ 7721:Meredith Monk "Beginnings"(2009)

 アコギの爪弾きをバックに素朴な歌声で"グリーン・スリーブス"が朗々と歌われる。落ち着いたフォーク・アルバムかな、と思いきや。そのあとは自作曲が続き、どんどん変てこさを増していく。60年代後半からさまざまな歌声を操って、前衛音楽にさまざまな影響を与えたメレディス・モンクの盤。タイトルから連想するに、活動初期から脂が乗りきった時期を通覧が本盤の狙い、だろうか。


 ライナーにはモンク自身による09年の発売に書き下ろされた解題が載っている。66~80年の録音の編集盤な位置づけらしい。丁寧なマスタリングが施されており、20年の幅ある音源群だとパッと聴きでは分からない。
 ジョン・ゾーンのモンクを賛美するコメントも掲載あるが、筆記体っぽい滑らかな活字が採用されて今一つ読みづらい。

 グルーヴでは無くパフォーマンスを軸にしたアプローチなため、聴いてて心沸き立つよりも腕組みして真面目に聴いたほうがいいかな、と思ってしまう。全17曲、個々の曲で突飛なアイディアが次々現れるのは面白いのだが。ノイジーな要素は少なく、耳触りも悪くない。

 アルバムを通底するコンセプトよりも、さまざまなアイディアを作品化したモンクの躍動感のほうが印象に残る。無伴奏でなく楽器もしばしば入るが、いわゆるバトルやセッションではない。現代音楽風の端正な面持ちだ。淡々と素朴かつ静かな楽曲が続き、トリッキーな歌声が乗る。モンクの歌声はハイトーンがきれいに、コケティッシュに響いた。クルクルと回るようなスキャットが彼女の好みっぽい。
 
 なお(4)のドン・プレストンはザッパのマザー・オブ・インベンションで活躍した、ドンその人らしい。一時期はモンクと生活を共にし、音楽監督も務めてたそう。知らなかった。そんな繋がりあったとは。

Personnel:
Meredith Monk – vocals (1-6, 8-17), piano (7-10, 16), organ (6, 12-15), guitar (1, 2), bass guitar (4), Jew's harp (5), production
Andrea Goodman – vocals (11)
Lanny Harrison – percussion (5)
Susan Kampe – vocals (11)
Don Preston – drums (4), organ (4), recording (4)
Monica Solem – vocals (11)
Collin Walcott – percussion (5)


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