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Daryl Hall & John Oates 「Abandoned Luncheonette」(1973)

 良いんだけど、売れ線狙いと思えぬ地味なアルバム。

 ホール&オーツの2ndは一年後に着実な発売へ至った。フォークやカントリー色を強めたアルバムで、メロウさはそのままだがビート感とデュオの爽やかさを強調した。
 そのわりにジャケットは渋すぎる。いったいどのあたりのマーケットを狙ったのだろう。

 プロデュースは前作と同様にアリフ・マーディン。ホール&オーツも敢えて内省的でチャート・アクションとは無縁の世界に沈みたかった様子も伺えるけれど。
 アレンジの詰めが少し古めかしく、今では甘く聴こえる。時を超えたヒット曲のようなオーラやスリルは足りない。
 商売抜きにデビューしたてのグループへ自由にやらせるあたり、アトランティックも鷹揚だ。逆に自作は、いっきに過激さを狙いトッド・ラングレンにプロデュースさせるのだが。

 本盤は地味ながら、洗練さは前作より増した。メロディもファルセットやハーモニーを効果的に使い、デュオの色合いを濃くしてる。
 シンセの音は時代を感じて古めかしい場面もあるけれど、バンド・サウンドっぽさの比率を上げ、フィリー・ソウルの切なさからNY的な洒落っ気を披露した。
 A5"I'm Just A Kid (Don't Make Me Feel Like A Man)"の鮮やかな和音感は、初めて聴いたら痛快なはず。

 つまりジャケットこそ穏やかながら、サウンドの路線はずっと前作より売れ線寄り。あくまでイメージがマイナー路線なだけ。もったいない。パッケージを変えたら、ぐっと華やかになってたはず。
 いわゆる玄人好みを狙うにせよ、このジャケットだとカントリーっぽさが先に立つ。

 中身はシティ・ソウルなのに。ホール&オーツは地元にルーツ帰りをしたかったのかもしれないな。繰り返すが、音作りは前向きに進歩した。スタジオ・ミュージシャンの演奏比率が高まり、SSWよりも歌手寄りにダリル・ホールの立ち位置が動いてきた。

 曲は共作が2曲、オーツが3曲にホールが4曲。リード・ボーカルもほぼ半々。若干、ホールが強いかなってくらい。
 エゴのぶつかり合いはたぶん無かったのだろう。のびのびと二人は、きれいなポップスを作り上げた。ストリングスがいい感じで美しく飾っている。

 なお地味だと冒頭に書いたけれど。聴き手は逃さなかった。全米33位、なおかつプラチナムの売上を叩き出したらしい。全米60位とチャートこそ奮わなかったが、このあとも重要なレパートリーとなる"She's Gone"を収録してる。
 チャート的にはむしろ、トッドが担当した次作"War Babies"(1974)のほうがコケている。

 アトランティック時代にホール&オーツが残したのは3枚。ホールの才能が瑞々しく発露した1st、トッドが鋭さを強調した3rdも味わい深いけれど。
 アルバムの仕上がりと、デュオの仲睦まじさが心地よいのは、やっぱりこの2ndだ。


Track list
1 When The Morning Comes 3:14
2 Had I Known You Better Then 3:26
3 Las Vegas Turnaround (The Stewardess Song) 2:59
4 She's Gone 5:15
5 I'm Just A Kid (Don't Make Me Feel Like A Man) 3:20
6 Abandoned Luncheonette 3:58
7 Lady Rain 4:25
8 Laughing Boy 3:32
9 Everytime I Look At You 7:02

Personnel:
Daryl Hall – lead vocals (1, 3, 4, 6-9), backing vocals (all tracks), mandolin (1, 7), electric piano (2-5), acoustic piano (6, 8), keyboards (9)
John Oates – acoustic guitar (1-3, 5, 7, 9), backing vocals (all but 8), lead vocals (2-5, 7), electric guitar (4, 9)

Chris Bond – mellotron (1, 4, 9), electric guitar (2, 4, 5, 9), acoustic guitar (3), synthesizer (4, 9), backing vocals (6)
Hugh McCracken – electric guitar (1, 7)
Jerry Ricks – acoustic guitar (2, 5)
Pat Rebillot – organ (3)
Richard Tee – acoustic piano (6)
Steve Gelfand – bass guitar (1, 2, 4, 7, 9)
Gordon Edwards – bass guitar (3, 5, 6)
Bernard Purdie – drums (1, 3-7, 9)
Rick Marotta – drums (2), percussion (2)
Ralph MacDonald – percussion (1, 4, 7)
Pancho Morales – congas (3)
Joe Farrell – oboe (1), saxophone (3, 4, 6)
Marvin Stamm – flugelhorn (8)
Gloria Agostini – harp (6)
John Blair – electric violin (7)
Larry Packer – fiddle (9)
Mark Horowitz – banjo (9)

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