TZ 7709:Jenny Scheinman "Shalagaster"(2004)

 いわゆるジャズを期待すると戸惑うが、極上のインストだ。エレクトリック・バイオリンのロング・トーンがふうわりと広がった。
 女性フィドル奏者のJenny ScheinmanがTZAIKでは2枚目、通算3枚目のソロ。さまざまなミュージシャンと共演してるが、ぼくは03年以降のビル・フリゼールとの演奏が印象深い。本盤ではギターレスのカントリー・ジャズを披露した。収録曲は1曲を除きジェニーの作曲。(10)がIsmet Siralの楽曲だ。彼はトルコ・ジャズ界初期のサックス奏者らしい。

 柔らかに弾む音色はハルモニウムだろうか。ピアノにエコーもある。幻想的なムードで、土臭いカントリー調と跳ねないジャズが滑らかに融合した。ロマンティックなテーマが幾度も繰り返される(2)のロマンティックさに、いきなりゾクッとくる。フェイドアウトで終わってしまうのが惜しい。

 Russ Johnsonのトランペットも添え物でなく、バンドの一員として存分に吹きアレンジの強固な要素をつとめた。サウンドは滴るように緩やかなグルーヴを提示し、時にアラビックなエキゾティシズムを身にまとった。
 がっちりタイトで確かなリズム隊の上に、のびのびとアドリブが広がる。自らのルーツを踏まえるつもりか、音像は常にどこか艶めかしくも懐かしい響きを滲ませた。
 ジャズの構造を取ってるが、ファンキーなグルーヴは皆無。欧州風の冷徹さとも違う。アメリカと中東の血を吸い、まるまると太って伸びやかにソロを広げる。フリーではなく細かくアレンジが施されたアンサンブルの中で。

Personnel:
Jenny Scheinman: Violin,vo
Russ Johnson: Trumpet
Myra Melford: Piano, Harmonium
Trevor Dunn: Bass
Kenny Wollesen: Drums

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