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Open Book(1990)【Prince未発表曲】

 プリンスの手練手管な歌いっぷりが、魅力的な曲。

 この曲って厳密には未発表曲じゃない。ジェベッタ・スティールのアルバム"Here It Is"(1993)に収録された。だがプリンスがボーカルを取ったテイクも残っている。
 プリンスは譜面で楽曲を説明しない。弾き語りのデモ、で曲を教えてもいなさそうだ。完パケまで追い込み、メインのボーカルだけ差し替えろってスタイルだったみたい。

 この曲の作曲クレジットは、マルティカ/レビ・シーサー・ジュニア/プリンスの連名になってる。Prince Vaultの録音クレジットでもバック・トラックはレビの手によるとある。
 しかしボーカルはプリンス。主旋律だけでなく、ハーモニーも含めて。この入れ込み具合は何なんだ。
 自分のアルバム用ではあるまい。クレジットが正しいならば、自分用なら人に演奏を任せることは無かったろう。

 それとも録音もプリンス、なのか。単なる贔屓倒しではあるが、違うような気もする。打ち込みと鍵盤によるトラックは簡素なもの。プリンスは少ない音数で魅力を表現もできたが、この曲は単にシンプルなアレンジって感じがする。

 なのにプリンスは歌へ手を抜いていない。主旋律は細かく分断され、ハーモニーも追いかける。複数のラインで厚みを出すプリンス印の歌い方だ。その一方で、提供曲ってことを意識してか、主旋律はむやみに幻惑しない。一本の筋を通したうえで、精妙にハーモニーで捩り合わせて厚みと複雑さを表現した。

 これはまるで、プリンスから挑戦のよう。俺より上手く歌えると思うのか?って。これを料理してみなよ、ほらって。
 プリンスは音楽に手を抜かない。与えられた機会と言うか、いったん関与するタイミングを得たら、ベストを狙ってアイディアを次々投入した。

 このテイクは元の曲を壊してはいない。シンプルなとこはそのままに、歌を幾本もダビングすることで輝かせた。その点が、素敵だ。

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