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Henry Kaiser 「Where Endless Meets Disappearing」(2009)

 ぷちぷち瑞々しい呟きが弾けては溢れる即興たち。

 ヘンリー・カイザーのエレキギター・ソロ。ディレイやサンプリング・ループを駆使と思われ、ソロ演奏だが音数は複数が鳴っている。まったく違うラインを奏でる箇所もいくつかあり、一発録音の即興ではなくダビングしているのかも。

 冒頭で13分弱の長めな曲、他に(7)や(18)も時間をしっかりとった。
 基本は短くアイディアをまとめた曲ばかり並ぶ作品なのに、アルバムの印象は大作のイメージあり。
 冒頭でじっくり音楽に向かい、目まぐるしく曲が移りながらも途中で長めの曲が現れる構成のため。

 ジャズやロックの文脈ではない。それなりにテンポ感や小節線を感じさせる曲があるものの、基本はノービート。
 むしろアンビエントなイメージがある。規則性は避けているが、ループにより若干のミニマル性もあるため、テクノほどメカニカルではないけれど。

 メロディが素朴に現われても、すぐに抽象的な音列に潰される。旋律ではなくサウンドスケープを楽しむような盤だ。
 音色は歪ませない、ブライトな響きを多用した。ディストーション効かせた曲もあるが、やかましさや緊張より穏やかなムードを演出した。テンポ感を緩めにして。
 いちばん歪みを強調が(16)。しかしこれも、アルバムの中のアクセントとして流れにハズシとメリハリになった。

 カイザー節の、とっ散らかりつつも乱暴にならぬ、不思議にトロピカルな開放性をもつ音楽だ。
 無機質で不規則性を意識して演奏しており、寛ぎにはあまり向かない。でも彼の音楽に馴染んでたら、さほど違和感なく音のたゆたいに耳を任せられる。
 コンパクトながら広がりあるエレキギターの奔流が心地よい。

 アイディア一発の即興群にもかかわらず、似通らずにテイストをさほど変えないバラエティさを産んだ。なおかつ長尺曲を上手く配置することでアルバムのトータル性を持たせるプロデュースぶりは、さすがのカイザーだ。

Track list
1 Where Endless Meets Disappearing 12:48
2 Very Lush Waters 5:40
3 Topic A 3:18
4 At Two 3:39
5 I Would Ask 3:57
6 Maybe If Time 1:12
7 A Precise Kind Of Infinity, A Sliver Of Clarity Nestled 11:04
8 Wet Behind The Ears 1:32
9 Touch And Change Places 1:39
10 This Way And That 2:15
11 Feel You Contact Everything 5:41
12 Completely Won Over 1:06
13 As Stream, Hue, And Pressure, Sound 3:34
14 Three Can Keep A Secret, If Two Are Dead 2:33
15 Regarding Proximity 1:09
16 The Gate Is That Way, Not This 3:58
17 Yet Another Good Time To Be 2:30
18 A Bloom Of Tiny Suns 9:53

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