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Mary Halvorson Quintet 「Saturn Sings」(2010)

 きっちり理知的に仕切った、優美なアンサンブル。

 メアリー・ハルヴォーソンのクインテットによる1st。自由さを素晴らしく増した2nd"Bending Bridges"(2012)に比べたら、本盤ではまだ制御が聴いている。グルーヴ感も整然たるもの。

 楽曲は全て彼女の作品で、番号もふられている。ピアノレスのクインテットは、メアリーらしい柔らかくホノボノした空気が漂った。細かくアレンジされながらも、張りつめた丁々発止とは異なる。
 どこか寛ぎが残り、整いながらも緩みを感じさせた。このしとやかさが本クインテットの魅力であり、メアリーの特徴だ。

 器楽的なメロディが硬質に響いた。けれど突飛さに振り切らず、親しみやすさは残してる。
 ある程度のビート性を維持して、ノリはふんわりと漂わす。フロント2管にもふんだんにソロのスペースを与えるけれど、ふと気が付くとギターが常に鳴っていた。

 リーダーシップは明確にした上で、アンサンブルを花開かせる。メアリーのアレンジ力と仕切り具合が興味深い。
 今後のジャズ界を担う、そうそうたる顔ぶれを見事に御して自分の色を出しつつも、縛り切っていない。
 二管も、ドラムもベースものびのび演奏してる。奏者の持ち味を生かしながら、メアリーは見事にサウンドをカタに嵌めた。

 全10曲、4~9分と長くも無く短くも無く。曲を、歌心を聴かせるよりも、楽器演奏による妙味を意識した本盤は、間口が狭い。かき分けて本盤へ進んだ時、アレンジの妙味に気づく。
 むしろ2ndから本盤へ遡ったほうがいい。もっと進歩して拡大かつ自由になった2ndから本盤を聴くと、シンプルかつ分かりやすく聴こえる。
 そしてもちろん、1stの魅力が減じることも無い。

 テクニックに頼り切らず、しかし手癖や感情に任せぬメアリーの特性が、本盤では綺麗に表現された。

Track list
1 Leak Over Six Five (No. 14) 6:44
2 Sequential Tears In It (No. 20) 6:03
3 Mile High Like (No. 16) 4:48
4 Moon Traps In Seven Rings (No. 17) 9:25
5 Sea Seizure (No. 19) 5:24
6 Crack In Sky (No. 11) 8:48
7 Right Size Too Little (No. 12) 7:32
8 Crescent White Singe (No. 13) 7:26
9 Cold Mirrors (No. 15) 5:39
10 Saturn Sings (No. 18) 4:29

Personnel:
Electric Guitar, Composed By, Producer – Mary Halvorson
Alto Saxophone – Jon Irabagon
Trumpet – Jonathan Finlayson
Bass – John Hebert
Drums – Ches Smith

Co-producer – Taylor Ho Bynum
Co-producer, Recorded By, Mixed By, Mastered By – Nick Lloyd

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