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Mary Halvorson Quintet 「Bending Bridges」(2012)

 混沌と整然がくるくる浮遊し入れ替わるフリージャズ。

 メアリー・ハルヴォーソンのクインテット名義は"Saturn Sings"(2010)ぶり、2作目。その後は2018年までアルバムが出ていない。本作と前作でメンバーは一緒だ。だからバンドっぽさをあるていど意識して、さまざまにメアリーが活動ゆえに本グループで作品化へ至ってないのかも。
 本作と前作は、メアリーと縁が深いコネチカット州のFirehouse 12 Recordsからリリース。録音もレーベルの自スタジオでミックスやマスタリングも当然に、レーベル・オーナーのニック・ロイドが担当した。

 本クインテット編成は二管でピアノレス。9曲入りで全曲がメアリーの作品、各曲に作品ナンバーが振られている。
 いかにもメアリーらしい、中庸なテンポの曲が並んだ。器楽的に上下する旋律が、テーマ部分では細かくアレンジされている。

 そのぶん、ソロ場面では自由度が高い。時にテンポも消えてノービートで暴れる場面も。儀礼でソロ回しじゃないようだが、アドリブになるとバンドと言うより個々の集合体めいた。
 メロディのアドリブではなく、てんでにメンバーが楽想を紡いでるかのよう。フリーな楽しさはある一方で、なぜ"曲"をやるのか必然性が分からなくなる。集団即興でもいいじゃないか、と。

 ライブを見たら印象変わると思う。細かくメアリーがキューを飛ばしてるのか、ソロや場面転換も規則性を感じない。
 一人が弾いてるときに、無造作に別の人が奏でて主導権が移っていく。たしかにギターが肝な場面も多いため、リーダーとしてメアリーはきっちり仕切ってるようす。
 ソロの途中でも譜面が現れもする。

 曲構造を直観的につかみづらく、なおかつ奥が深い。アドリブと譜面がさまざまに交錯した。聴き込むほどに、メアリーの存在感が増していく。
 ポリリズムを強調はしないが、同時進行のアドリブでは譜割が様々に交錯した。なおかつ変拍子もしばしば登場。その上で、グルーヴ感はあるけれどビート性は重視せず、しばしばノービートも現れる。
 この奔放な融通無碍さが本盤の魅力。"Saturn Sings"から聴き進めると、このアンサンブルがどれほど自由さを高めたか分かる。

 もっと聴き込もう。聴くたびに違う場面に耳が行き、仕掛けや駆け引きに気づく。


Track list
1 Sinks When She Rounds The Bend (No. 22) 7:48
2 Hemorrhaging Smiles (No. 25) 7:59
3 Forgotten Men In Silver (No. 24) 8:03
4 Love In Eight Colors (No. 21) 10:15
5 The Periphery Of Scandal (No. 23) 7:50
6 That Old Sound (No. 27) 4:48
7 Sea Cut Like Snow (No. 26) 6:52
8 Deformed Weight Of Hands (No. 28) 7:09
9 All The Clocks (No. 29) 7:48

Personnel:
Guitar – Mary Halvorson
Alto Saxophone – Jon Irabagon
Trumpet – Jonathan Finlayson
Bass – John Hébert
Drums – Ches Smith

Recorded,Mixed,Mastered By – Nick Lloyd
Recorded July 30th & 31st, 2011 at Firehouse 12.

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