TZ 7050;Giustino Di Gregorio "Sprut"(1995)

 サンプリングを基本の前衛エレクトロニカだ。TZADIKから99年にリイシューなイタリアの作曲家Giustino Di Gregorioの作品。最初に発表時は本盤の(6)-(10)の"第一部"のみ、本TZADIK盤で第二部と第三部が追加されたようだ。作曲家の経歴は不明。


 ジャズメンを中心の膨大なサンプリングがライナーの記載から伺われるが、根本的にスピード感が希薄だ。まったりと音像が切り替わり、混沌を表現する。手法は高速切り替えのジョン・ゾーンと似てるのに、どこか鷹揚でのんびりしてる。
 基本は抽象的なサウンド・コラージュ。一つ一つの音は素材として冷徹に扱われ、変則的なビッグバンドの感触も。ノイズと生楽器のサンプリングを並列に位置づけた。

 フロア対応のビートを効かせはしない。ドラムやフレーズによるリズム感はすぐに薄れ、とぼけてしまう。膨大な楽曲素材を積み重ねたセンスは興味深い。
 しかしアメリカ音楽のマニアが手持ちの盤を片端から無秩序につなげたって印象もぬぐえない。
 サンプリングはセンスであり、アイディアだなと実感する一枚だ。この盤からは、作ってて楽しんだ様子は伝わる。聴いてて、いくつか面白いところもある。しかし異化効果で新たな価値観を産むとこまで昇華させたかは、ちょっと疑問だ。



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