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Permahorn 「My Blood Carries My Dreams Away」(2017)

 世代が一回りした、シミー風シューゲイザーなロック。

 クレイマーは元気に活動してるのだろうか。アナログのみの発表に拘るコンセプトなシミー500も、ジャド・フェアとコラボ盤"The History Of Crying"(2017)以外は、本盤を出して音沙汰がない。しかも本盤はカタログNo.が3。カタログ2番はどこへ行った。リリース予定なのか、ボツったのか。
 そのうえ本盤はCDもあり。しかもCDには隠しトラックのボートラまでついている。いきなりコンセプトがブレてるけれど、何がおこっているのやら。
 なおAmazon Music unlimitedで聴ける配信音源では、CDのボートラも聴ける。バンドキャンプの当該ページだと、配信音源に(11)は掲載ないが。

 パーマホーンはロンドン拠点のバンドで、スコットランドとセルビアの男女デュオ。これが1stアルバムらしい。Discogsによると、"Radiation"って曲を2016年にバンドキャンプで発表とある。
 録音はクレイマーの現拠点ノイズ・マイアミ、ミックスとマスタリングもクレイマーによって。もっともこの曲は既にバンドキャンプから消されており、本盤へ収録も無い。

 パーマホーンの影響バンドはフェイスブックによると、次の通り。
Galaxie 500, Low, Sonic Youth, JAMC, Arab Strap, Twilight Sad, Half Japanese, Daniel Johnston, Bongwater, Buddy Holly, Pulp, Blur, Super Furry Animals, Morphine, Low Anthem, Smog, Arcade Fire, Cat Power
 しょっぱなにギャラクシー500があり、他にボングウォーターも。確信犯的にクレイマーが作ってきたサウンドを聴いて育った世代だ。
 すなわちクレイマーは対等な製作者でなく、メンター的な存在だったのかもしれない。

 本盤の録音は、製作がロンドン。ミックスとマスタリングがノイズ・マイアミとある。もっともクレイマーも"Weird noises"とクレジットされた。
 マルチをノイズ・マイアミに送り、ダビングをクレイマーが少し施してミックス他を行ったってことか。ネット記事によるとデモテープからクレイマーが選曲とも伺える。

 どこまでがパーマホーンの意図であり、どのくらいがクレイマーの味付けかは不明だ。聴けるのは、いかにも往年のシミーディスクなドラッギーに煙ったサイケ・ロック。
 テンポは緩やかで、まさにギャラクシー500直結の穏やかな不穏さがある。
 スリルやオリジナリティは希薄だが、シミーのファンには安心して聴けるという、なんとも2017年に出た盤とは思えない印象だ。90年代初期のシミーのアウトテイクと言っても成立する。

 もっともクレイマーは、さほど過激にいじってなさそう。エコー感を強調して、わずかにノイズをダビングしたっぽい。
 パーマホーンのファン気質を苦々しく思いながら、もしくは淡々と仕事をしたのではないか。
 
 ぼくはクレイマーのファンだし、彼の作ってきた音楽は心地よく聴ける。しかしどうせなら、過剰プロデュースに負けないオリジナリティをバンド側に持ってほしい。
 エコーやミックスの加減で独自色を、クレイマーはいくらでも出せるから、音で喧嘩を望む。クレイマーに迎合しても、それ以上は生まれないし。

 だから本盤は心地よくて好みの音にもかかわらず、聴いてていまいち諸手を挙げて評価しづらい。彼らは30年ほど、遅かった。時代錯誤って意味ではない。
 対等さが足りない。クレイマーがばりばりに尖ってた90年前後に本作を製作してたら、もっと違う地平も見えたはず。

 切ないことに、本盤のサウンドそのものはクレイマーのファンとして楽しい曲が並ぶ。歪んだギターや古めかしい鍵盤に、どっぷり煙った残響。つぶやき気味に起伏の少ない乾いたメロディ。
 シミーやクレイマーのファンなら、楽しめるはず。ただ、クレイマーをよく知らない人には薦めづらい。


Track list
1.My Blood Carries My Dreams Away 02:50
2.Vertigo 02:35
3.Ghost at the Feast 05:08
4.Radiation 04:13
5.Into the Dreams (Slut) 04:47
6.Roll Over 02:44
7.Peel Me 04:00
8.Lynch Mob 05:19
9.Friday 5:13 04:00
10.Weather 04:55
11.Daniel 04:00
12.Mickey 04:26

Personnel:
Paul Mitchell: Guitar, vocals, drums, knobs
Jelena Pesic: Bass, vocals, drums, switches
Kramer: Weird noises

Recorded April-November 2016 in London
Mixed and mastered by KRAMER at NOISE Miami

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