TZ 7397:John Zorn "Nosferatu"(2012)

ブラム・ストーカー没100年を機に発表された、ドラキュラをテーマの傑作アルバム。全16曲、きっちりアレンジされた作品が並ぶ。中盤のソロはアドリブかもしれないが。
ハードな曲もあるが、ほとんどが不穏なラウンジ・スタイル。ミニマルさや一定のテンポ感を強調して、揺らぎを表現した。美しくも寂しげな和音が漂う、綺麗な作曲だ。

上品だが不安を漂わす端整さが、アルバムを包んだ。数曲で聴ける豪快スラッシュ・メタル風に疾走する(3)みたいな曲がもう少し多ければ、アルバムのメリハリはもっとついたと思う。しかし劇版ゆえか、あまり突飛な展開は無い。

冒頭の数曲は派手だが、あとはじっくり聴けた。7分半に及ぶ(10)がクライマックス。タイトにドラムが刻み、ベースとオルガンがクールなファンクネスを示す。サックスはダブ処理かな?細く高く吼えた。

ピアノやビブラフォンの柔らかいタッチだが凛とした音色が、本盤の色彩を薄暗く染めた。ロマンティックなトータル・アルバムとして聴ける。旋律の変奏はさほど感じなかったが、ぼくが気づいてないだけかも。

和音やさり気ないアンサンブルの配置で、影を見事に表現した。ときどきノイズを混ぜたアレンジも良い。アレンジの凄さにぐいぐい惹かれる。匠の技だ。超絶技巧無くとも、着実なテクニックが滲む。
アルバム最後は(10)の変奏曲。終盤の穏やかさを、テンポ・アップできゅっと緊張した印象で終わらせた。

そもそもこの音楽はポーランドの現代劇版らしい。ジョン・ゾーンはサックスだけでなく鍵盤も数曲で披露した。2011年7月の録音。
ちなみに"ドラキュラ"(1897年)の原文、グーテンベルグ版はこちら

Personnel;
John Zorn − piano, alto saxophone, Fender Rhodes, electronics, breath
Rob Burger − piano, organ
Bill Laswell − bass
Kevin Norton − vibraphone, drums, orchestral bells, Tibetan prayer bowls

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