TZ 7244:Sachi Hayasaka "Minga"(2003)

早坂紗知のMingaは本盤で、複雑なメロディと変拍子を南アフリカやブラジルの爽やかなファンクネスのジャズを表現した。3人のパーカッション奏者が、様々な彩りを添える。
アンサンブルの基本は永田利樹と3パーカッション。あくまでリズムが肝っぽい。永田利樹の"Ecdysis"(2000)にも参加した鬼怒無月のギターも太い軸だ。しかし彼は2ndでバンドから離れてしまう。


曲毎にパーカッションの参加顔ぶれは異なる。三人全員が参加もあれば、二人だけの時も。あくまで本盤のみの印象で言うと、ワガン・ンジャエ・ローズの参加は3曲に留まり、ゲスト的な味わいだ。ひねったメロディを躍動するリズムに乗せ、複雑さが生き生きしたグルーヴに変わる。そんな方向性を感じた。

なお本盤は早坂紗知のオリジナル・レーベルNBAGI RECORDからも曲順を変えリリースあり。どっちが先だろう。NBAGI盤の曲順は(3)(6)(1)(5)(2)(7)(4)と、まったく違う。TAZDIK版の選曲を誰がしたのか興味ある。ジョン・ゾーンかな?
TZADIK版で聴くと、豊かなバラエティとグルーヴィなノリがスムーズだ。(4)が中央に置かれ、(5)につなげることでジェットコースターみたいな落差の激しさもあり。(4)と並ぶ10分越えの長尺(6)が続くことで、前半は畳み掛け後半でじっくりのメリハリもついている。

演奏は凄腕が揃い、どんなに複雑なことをやってても爽快に聴けてしまう。アコースティックさを全面に出した鬼怒のギターが爽やかで、複合するリズムを難なく整理した。鍵盤奏者が居無いなか、和音と刻みの双方をギターで事も無げに表現する。(4)は高らかなエレキギターのソロが、早坂のサックスと絡んでいく。本盤でのハイライトの一つだ。素晴らしい。
全員が無闇に前へ出ず、整ったバランスでサウンドを磨き上げた。野太い永田のベースが、がっつりとアンサンブルを支える。パーカッションとの繋ぎもばっちり。

早坂のサックスは、小気味良い音色でふくよかだ。特殊奏法やノイジーさを狙わない。スマートにフレーズを絞り、柔らかく広げる。確かなテクニックで切れ目スッキリとフレーズを切り、繊細にアドリブを展開。変拍子の複雑な構成でも、彼女のサックスは伸び伸びとソロを取った。

複雑でも、すんなり親しめる。ところが聴いてると、高度な展開が滲み圧倒される。味わい深いアルバム。

Personnel:
早坂紗知: Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Chorus
永田利樹: Bass, Percussion, Voice, Chorus
大儀見元: Percussion, Chorus
ヤヒロトモヒロ: Percussion, Chorus
Wagane Ndiaye Rose: Sabar
鬼怒無月: Acoustic And Electric Guitar, Bandolin
おおたか静流: Voice

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