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Cannonball Adderley 「African Waltz」(1961)

 エキゾティックにスイングするビッグ・バンドなジャズ。

 リバーサイドの企画盤第二弾、と言いたくなる。エリントン風にしたかったのかも。
 録音は61年2~3月にかけて。前作"Know What I Mean?"(1961)と並行して作られた。
 20人以上の大編成でビッグ・バンドを組み、キャノンボール・アダレイがフロントに立つ構成だ。

 アレンジはアーニー・ウィルキンス。カウント・ベイシー楽団でアレンジャーとしてならし、ハリー・ジェイムズ(tp)やジョー・ニューマン(tp)らとアルバムを作ってきた。
 キャノンボールの一回り上の世代で、スイング時代に活躍したベテランのサックス奏者である。彼自身は吹かず、アレンジに専念した。

 ハード・バップも古臭くなってきたこの時代に、なぜスイングへ向かうのやら。新たなジャズへ向かう前に、営業もしくは保守層に向けた盤か。
 なおサイドメンはスタジオ・ミュージシャンだけでなく、ナット・アダレイやサム・ジョーンズ、ルイス・ヘイズといったキャノンボールのバンド仲間も参加。
 ピアノはウィントン・ケリー、さらにオリバー・ネルソンなども目に付いた。
 クラーク・テリー(tp)もいるじゃん、と思ったら。彼は元々ベイシー楽団にもいたのか。

 "African Waltz"ってアルバム表題から、猛烈にファンキーなアフロ・ファンクを一瞬期待するが、真逆のサウンド。ホーン隊が鋭く鳴らす和音による、ジャングルの熱気を連想させるエキゾティックさはあるものの、基本はオーソドックスなスイング・ジャズだ。
 本盤でもキャノンボールはホーン隊とユニゾンに、ソロにと自在かつ丁寧にサックスを操った。場に合った音楽を奏でる、上手さをさらりと披露した。

 楽曲はスタンダード一辺倒と思いきや、ナット曲のB2やウィントン・ケリー作B3も取り上げて、コンセプトが分かりにくい。
 LPに未収録だがボビー・ティモンズの"This Here"も"Quintet in San Francisco"(1959)ぶりに再演した。この曲もボートラで今は容易に聴ける。

 とにかく多人数による分厚いホーン隊が本盤の魅力。パーカッションが賑やかに鳴り、派手だ。その一方でスリルは少ない。演奏そのものはしゃっきりしているが、懐メロな風情が抜けきらないから。
 でも暖く弾むノリと、キャノンボールをむやみに前に出し過ぎないアレンジに気持ちよく聴ける盤ではある。



Track list
A1 Something Different 2:59
A2 West Coast Blues 4:02
A3 Smoke Gets In Your Eyes 3:00
A4 The Uptown 2:12
A5 Stockholm Sweetin' 3:37
B1 African Waltz 2:08
B2 Blue Brass Band 4:46
B3 Kelly Blue 3:46
B4 Letter From Home 1:55
B5 I'll Close My Eyes 3:39

Personnel:
Ernie Wilkins - arranger
Cannonball Adderley - alto saxophone
Nat Adderley, Joe Newman, Ernie Royal, Clark Terry, Nick Travis - trumpet
Jimmy Cleveland, George Matthews, Arnett Sparrow, Melba Liston - trombone
Bob Brookmeyer - valve trombone
Paul Faulise - bass trombone
Don Butterfield - tuba
George Dorsey - alto saxophone, flute
Oliver Nelson - tenor saxophone, flute
Jerome Richardson - tenor saxophone, flute, piccolo
Arthur Clarke - baritone saxophone
Wynton Kelly - piano
Sam Jones - bass
Charlie Persip, Louis Hayes - drums
Michael Olatunji - congas, bongos
Ray Barretto - congas

Recorded at February 28, May 9 & 15, 1961

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