TZ 7250:Yamataka Eye /John Zorn "Nani Nani 2"(2004)

ボアダムズのヤマンタカEYEとジョン・ゾーンのデュオで、"Nani nani"(1995)に続く競演盤。声対アルト・サックスのバトルでなく、互いに他の楽器も演奏するバラエティ豊かなインプロに仕上がった。
完全即興かな?シンセなどはダビングのようにも聞こえる。生々しい混沌が詰まった。

冒頭から変てこな声と電子音、アルト・サックスが混じる。ひよひよと鳴るサックスとシンセのピッチが合って奥行深い音が生まれた。
パーカッションとサックス、シンセが同時に鳴る辺りが同録度を悩むところ。即興的に平行して演奏もできそうだが、録音がキチンとエッジ立ったミックスで、個々が生き生きと響いてる。でも二人の事だから、全部同時に演奏してそう。

全10曲。尺はまちまちだが突発的な瞬間芸は無く、逆に無闇な長尺ドローンもない。楽器を持ち替え、基調に声とサックスを踏まえつつもメロディや構成の希薄なインプロが次々と現れた。
もっとも楽曲はひとつながり。セッションの区切りごとにトラックを分けたか。

例えばネイキッド・シティのようなヒリヒリした異物感は無い。足元から別世界に振り切った抽象が流れる。これはゾーンのアプローチに依るところが多い。EYEの奔放で自由な音楽を、サックス以外の楽器も使って受け止めた。
ゾーンは超絶技巧のサックスのみでも十二分に受け止められたと思うが、そのときは類型的な「ああ、インプロね」って斬り合いで終わったはず。

しかしゾーンもEYEとまっこうから、しかも違う楽器で相対によって音楽に幅が出た。
へんてこで底が見えず、足元も揺らぐ不安定で面白い音楽に仕上がった。
聴いてて寛げない。取り留めなさすぎるためだ。だが不思議と、寛いだ様子が伝わってくる。この空気が、EYEの味か。

たとえば(4)。サックスを軋ませつづけるゾーンに対し、EYEはスペイシーなシンセで受け止めた。これが音色にバラエティ持たせてる。シャウトだけだと、正直単調できつかった。ライブならまだしも、CDだと集中力が続くまい。

全編が力押しでもない。(5)は穏やかなムードでメロディアスに進む。背後ではサックスのロングトーンが低く蠢き、EYEの鼻歌も奇妙な揺らぎを施すが。
(8)もそう。軋む金属ノイズの奥でうっすらと和音感が残る。

結局は、ノイジーなバトルより穏やかなアンビエントさのほうが改めて楽しめた。

Personnel:
Yamataka Eye: Voice, Electronics, Organ, Banjo, Steel Guitar, Electric Fan, Objects, Percussion
John Zorn: Alto Sax, Piano, Tabla Machine, Tibetan Bells, Percussion

関連記事

コメント

非公開コメント