たけし映画:撮影録

"Blue Film ー北野武の428日ー"を読んでいる。【菊次郎の夏】(1999年)の撮影様子を、ライターが密着してふんだんなオフショットの写真とともに一冊の単行本に仕立てた。あまり文章に凝らず、たんたんと記述が続く。たけしやスタッフへ無理なインタビューを試みず、親密な見学者として著者は存在した。


複数のメンバーで作品を作る過程のレポを読むのが好きだ。といいつつ、そんなに読んではいないな。ぶっちゃけ、"監督たけし 北野組全記録"を面白く読んでいただけかもしれない。

たけしの映画をきちんと見てるわけではない。"監督たけし"も20年くらい前、たまたま手に取っただけ。だけどこの本は面白かった。
タレント上がりだろと色眼鏡ついた一作目のたけしが、過剰に気負わないが意志は明確に主張する。そして現場でばんばん変えてくたけし監督の凄さに、スタッフや筆者が惹かれてくさまが痛快だった。

だがたけし監督はあっというまに評価されてしまい、その後に読んだ撮影録は宣伝臭が前に出て今一つつまらなかった。今回読んだのも、爽快さって点では今一つか。なおぼくの読んだ中では、以下の4冊がある。

【その男、凶暴につき】(1989年)
"監督たけし 北野組全記録"(1989:太田出版)

【HANA-BI】(1998年)
"コマネチ!"(1999:新潮社/新潮45別冊2月号)

【菊次郎の夏】(1999年)
"Blue Film ー北野武の428日ー"(1999:ティーツー出版)≪本書≫

【BROTHER】(2001年)
"コマネチ!2"(2000:新潮社/新潮45別冊2月号)

今、併せて読んでるのが"物語"(北野武:著、2012;ロッキング・オン社)。Sight誌掲載インタビューをまとめた本で、【アウトレイジ・ビヨンド】までの脚本を語ってる。

読み並べて興味深いのが、妥協とアドリブの度合いだ。ライターによる撮影録では、現場判断でバサバサ変えてく、たけしのようすに爽快感を感じる。たけしのインタビューでは、さらにもう一段の妥協が施されていると伝わってくる。
予算、環境、現場、本人のコンディション。さまざまな条件を縫って、作品を作り上げるさま。そんなダイナミズムが読んでて楽しい。

次に読もうと"仁義なき映画論"ビートたけし:著、1996:文集文庫)も手元にある。こういうのこそ、手軽に電子書籍で読めたらいいのに。普通に絶版、で終わってるみたい。

とはいえ、たけしの撮影録を読んでて思うのが、極力撮影に集中できてるさま。さすが大物芸人。監督としても、スタッフの丁寧なサポートが垣間見える。こういう風に雑用を極力排せるって良いよね。雑用って、ほんと面倒だもの。

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