Ray Anderson/Han Bennink/Christy Doran 「Azurety」(1994)
アメリカのレイ・アンダーソン(tb)、ドイツのハン・ベニンク(ds)、英(アイルランド)のクリスティ・ドーラン(g)によるアルバム。
世代も生まれもバラバラ、どういうきっかけで共演に至ったかは知らない。
録音はスイスはチューリヒのラジオ局DRSで行われた。
ハン・ベニンク目当てで聴いたのだが、思ったのとは違うゆったり具合だった。
いちおうリーダーはアンダーソン。彼が3曲を提供した。あとはドーランが2曲。
他に2曲を3人の共作名義。実際は単なるインプロではないか。
残る一曲はエリントン。しめて8曲、一時間弱のアルバムだ。
欧州フリージャズは理知的でストイックかつ、調子っぱずれない勢いで激しく炸裂ってイメージがある。特にベニンクの世代は。乾いたジャズを期待して本盤を聴いたのだが、もうすこし穏やかなイメージ。
ベニンクはスタジオ・ミュージシャン的な立ち位置か、あまり自己主張しない。大人しく刻むわけでもないが、あまり存在感も無い。
リーダーのアンダーソンがトロンボーンもしくはチューバのおっとりした音程感な楽器のためか、サウンドの輪郭は緩やかだ。
意外と演奏のムードを握ってるのはドーラン。彼が歪んだエレキギターを強く鳴らした途端、音像が引き締まる。
すべての曲でディストーション効いたギターが聴けるわけではない。94年の時代性を考えたら、なんとも煮え切らない。ロックで流行ったグランジよろしく、激しく行っても良いのに。
アドリブの音使いも基本的には綺麗な響き。不協和音や突飛な跳躍を音符が行うことも無い。それなりにフリージャズでとりとめないけれど。幻想性ほど牙を抜かれてはいないが、脱力気味に半ば探り合うような音のやり取りが広がった。
このトリオは気に入ったらしく、翌95年にもアルバム"Cheer Up"を発表する。"A B D"(2011)のタイトルで双方の盤から抜粋再発もあり。
とりとめないおっとりした雰囲気を、時々エレキギターの鋭さでメリハリつけた盤。つかみどころ無い感じだ。
Track list
1.Open house (11.21)
2.Azurety (07.04)
3.B & D (04.29)
4.March of the hipsters (06.54)
5.Heights (10.55)
6.Just squeeze me (03.29)
7.A B D (03.26)
8.The Waters Dixon line (07.55)
Personnel:
Ray Anderson, trombone, tuba
Han Bennink, drums
Christy Doran, acoustic and electric guitars, delay devices.
Recorded at Radio DRS, Zürich on 21/22 April 199
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