TZ 5008 "Wadada Leo Smith,Susie Ibarra,John Zorn"(2004)

 ジョン・ゾーン生誕50歳の記念月間ライブ@NYトニック、CD化シリーズの第8弾。CD一枚だが1st、2nd双方の様子を収めた。2003年9月22日は1stがSusie Ibarra(ds)と、2ndがWadada Leo Smith、とのデュオ。
 CD1枚75分みっちり詰めたが、ライブ2set分にはいかにも短い。フルセット収録のうたい文句だが、若干カットしてないのかな?正直何故リリースに踏み切ったか分からない。ステージでは好感触を得たのかも。


 前半はdsとのデュオ。メロディアスな(1)から、ついばみ音や循環呼吸と(2)と、ゾーンは曲ごとにテクニックを次々に繰り出す。ドラムは(1)が力技、(2)が抑えた探りとゾーンに併せてアプローチを変えた。
 Susie Ibarraはあまり聴いたことが無いが、NYでは有名な人らしい。着実なテクニックを伺わせるが、無闇に叩きまくらない。TZADIKからも2枚のリーダー作を出している.。
("Flower After Flower"(2000)、"Folkloriko"(2004))
 
 ゾーンが前面に出る一方で、デュオとしては比較的おっとりとしてる。手数が多くとも深みあるタムの音色で、派手さに欠けるためか。各曲6~7分。短くもないが長くも無い、あっさりしたセッションだ。ゾーンのテクニックで聴かせるが、音だけでは今一つスリルに欠ける。現場にいたら、違う感想かもしれない。録音のせいか、どうもドラムが遠くて弱い。
 終盤でゾーンが金管楽器のように野太い音を出すのが、ちょっと新鮮だった。腿ミュートだろうか?
 とはいえ今一つ煮え切らないまま5曲で1stセットの終わり。しめて33分ほど。ちょっと短い。

 (6)から4曲が2ndセット、しめて40分くらい。いきなり16分弱と12分弱、長尺2本で幕を開ける。ゾーンの音色が金管っぽく明るい響きで、トランペットとのからみが鮮やかだ。
 ロングトーンと旋律の対比。ゾーンは一歩引いてWadadaに華を持たせる。やたらにアルトは吹きまくらず、ペットの出方を待つ。そして音を聴きながらカウンター含めて空気をかき混ぜていく印象だ。

 Wadadaはちょっと歯切れ悪い音使いで吹く。メロディや構成より気が向いたフレーズを垂れ流す感じ。フレーズの長さもまちまちで、興が乗るとどんどんひとつながりのアドリブになる。
 だから長尺とはいえWadadaの止め時を探りつつゾーンがズルズルつなげたっぽい。フレーズが途切れたところでゾーンが、ブレスのみの静かなノイズを出すとWadadaも追随するあたり、二人とも音を聴きあってる。
 
 Masada的な曲とインプロを編み合うスリルでなく、即興二本が並列処理なサウンド。比較的静かに小節線の無い無造作で淡々としたデュエットだ。
 ステージの雰囲気が緊迫してたならば、本セッションはスリル持って聴けたと思う。音だけだとやはりもどかしい。寛いで聴けるため、ぬるぬるっと二本の音がまとわりついてしまう。
 なお書きそびれたがIbarraとのセッションを含めて、本盤は全てインプロだ。
 
(7)はIbarraも加わった。リズム刻まずシンバルやドラムの静かなロールで空気を振動させる。三人とも炸裂を丁寧に避ける、密やかな空気を狙った。ときおりボリュームが大きくなっても、決して暴走はしない。コントロールを意識してる。
(8)は再びデュオ。Wadadaは無造作な断片フレーズ、ゾーンが高速タンギングのハイテクニックでサックスを存分に軋ませた。ノービートだが旋律が降り注ぐ。

(9)で再びトリオとなる。Ibarraの加わり方が妙に前後するが、曲間をカットかな。冒頭でフロアタムのロールで期待するも、やはり燃えきらず。WadadaとIbarraのデュオで始まり、おもむろにゾーンが加わった。楽曲としてはこれが本盤でベストかな。
 終盤でWadadaが一瞬吹いたメロディがMasadaっぽくて面白かった。そのまま唐突に幕。

 なおWadada Leo SmithはCDデビューこそ遅そうだが、ベテラン・ミュージシャンの印象ある。TZADIKからも多数のリーダー作有り。詳しくはこちら。と言うほど、彼の音楽は聴いてこなかったが。TZADIKのリーダー作だけ、抜き出してみよう。

[Tzadik's discography]
1996 Tao-Njia
1999 Light Upon Light ‎
2000 Reflectativity
2000 Golden Quartet
2001 Red Sulphur Sky ‎
2002 Luminous Axis (The Caravans Of Winter And Summer)
2004 Lake Biwa
2004 50⁸ 【本作】
2009 America
2014 Sonic Rivers

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