TZ5003:John Zorn "Locus Solus"(2004)

2003年9月10日の2nd set。NY Tonicでジョン・ゾーン生誕50歳記念、一ヶ月連続ライブの一環で、TZADIKから翌年にリリースされた。
難解ゆえに毀誉褒貶、特に酷評寄りのバンドなロクス・ソルスのライブだ。


見て楽しむ即興音楽、は確かに存在する。目の前で空気感や奏者のムード込みで聴けるインプロは、ときに音楽は難解でも非常に親しみやすく楽しい。
ロクス・ソルスはそんなバンドだと思う。観客は実に楽しそうだ。


ロクス・ソルスはゾーンの極初期から活動するバンドで、アート・リンゼイにアントン・フィアとのトリオだ。いかにもNYらしいテクニックより奇抜さを優先したインプロ・トリオは、確かに非常に聴きづらい。メロディやビートでなくアイディアの新奇さや、瞬発のきらめきを追求がゆえに。

"ロクス・ソルス"(1914)は仏の作家レーモン・ルーセルの作品。「奇想の発明品を紹介する」をテーマの創作で、かなり読みづらい文章だが、言葉を駆使した不可思議な作品のようだ。未読のため内容は触れられない。「非常に読んでみたいが、読み始めたら放り出す」の典型かも。そのうち、読んでみよう。


正直、ロクス・ソルスは音盤だけ聴いてもサッパリだった。わけのわからぬ音列が、ドバっと溢れては終わる。カタルシスも構造も無く、垂れ流しかと。
だが本書のテーマを改めて調べ、想像力を駆使してようやくロクス・ソルスの切っ掛けに気づけた気がする。

たぶんこのバンド、即興もしくは図形楽譜みたいな抽象アイディアを元に、瞬発的に音楽を炸裂がテーマではないか。リズムもメロディも敢えて回避し、いかに表現するか。無秩序だが長尺は避ける、という。
このインプロを追求しつつ、ゾーンは整合性を求めてゲーム・システムやファイル・カードでのルールを取り入れ、自由と制御のはざまを探求する音楽活動に至ったのではないか。
改めて本盤を聴き、考えをめぐらせつつ空想を膨らませた。

何度目かに聴き直す本盤の音楽はやはり、とりとめがない。ゾーンのテクニックは登場当時の80年代初頭ならいざ知らず。これだけ耳馴染むと、"超絶技巧の鑑賞会"でしかない。
アート・リンゼイやアントン・フィアもユーモアや隙間を音楽に取り入れが狙いか、今一つ切迫感が無い。ゾーンを立てつつ他の2人が音を足し、リズムもビートも希薄な即興という、なんとも芯の見出しづらい世界が広がった。

当日ライブは映像も残ってる。脱力アンサンブルはたぶん、見てたら楽しめた。


Personnel:
John Zorn – alto saxophone
Anton Fier – drums
Arto Lindsay – guitar, voice

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