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TZ 8313:John Zorn "Psychomagia"(2014)

 箱庭の暗黒グルーヴとクリーンなトーンを平然と両立させた。

 悪性黒質病/神聖なエンブレム/キルケ/サークルを四角い/天体メカニズム/凱旋獣の誘拐/フォーリバーズ/無名の神/魂。
 本盤の曲名を自動翻訳にかけたら、こんな言葉が並ぶ。ジョン・ゾーンのオカルト趣味が如実に出た意味深なタイトルばかり。
 月間で次々リリースしてた時期に出た本盤は、ゾーンの名義。しかしWikiではAbraxasの2ndと定義されている。

 Masada Book 2の第19弾で2012年にリリース時のユニットが同じ顔触れで、ゾーンの曲を吹きこんだのが本盤だ。
 06年のMoonchildを皮切りとして、Masada String Trio/Gnostic Trio/Simulacrum/Dreamers/Nova Express など、この時期に頻出していたゾーンが演奏へ加わらないが録音には指揮で強く関与する、疑似バンドの一つと解釈されている。

 実際に録音へゾーンが立ち会っていたのか、指揮していたのかは分からない。
 アレンジはかなりキメが多く、凝っている。ゾーンの他のユニットのように、演奏は抜群にうまい。機械仕掛けのように整然とタイトに奏でた。

 ジャズ的な要素は低く、むしろチェンバー・プログレ寄り。しかし譜面一辺倒でなく、アドリブも頻出する。
 このユニットは本盤以降に音盤は出していない。明確なコンセプトは不明だが、何らかの意味付けに用いた組曲としてゾーンが本盤の作品を並べて録音に及んだのかもしれない。

 二本のエレキギターをフロントに立てたアンサンブルは、クリーンなトーンだとラウンジもしくはエキゾティックなイメージ。歪んだ音色では一気にハードに向かう。
 クレヅマーみたいな文化要素は希薄にして、ある意味で無色のパレット。ゾーンが指定した色のまま自在に変化する。

 メロディだけでなく、音色までゾーンが指定かは分からない。だが細かく指揮でも不思議はない。そのくらい、本盤は破綻のスリルは無い。歪みすらも計算され、秩序だって綺麗に成立した。

 ゾーンによる一連の疑似ユニットとして聴くなら、ダイナミックな鋭さは単純に心地よい。若干スリルに欠けるけれど。逆に、このバンドの個性は編成以外に感じられない。なぜこの編成か、何をしたいかの必然性に乏しい。あまりに整理され完成されているがゆえに。

 とはいえ乱暴さは皆無、重厚さすらも演出だと分かる緻密な演奏を楽しもう。
 音楽と演奏の確かさだけは、間違いない高いクオリティだ。

Track list
1 Metapsychomagia 7:31
2 Sacred Emblems 3:02
3 Circe 6:03
4 Squaring The Circle 5:51
5 Celestial Mechanism 2:32
6 Evocation Of The Triumphant Beast 6:25
7 Four Rivers 3:54
8 The Nameless God 4:35
9 Anima Mundi 4:14

Personnel:
Shanir Ezra Blumenkranz - bass
Aram Bajakian, Eyal Maoz - guitar
Kenny Grohowski - drums

Recorded Dec. 2 and 3, 2013 at Orange Sound.

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