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McCoy Tyner 「The Real McCoy」(1967)

 漆黒の怒涛なハード・バップ。ピアノが熱く滾る。

 "The Real McCoy"とはそもそも英語のイディオムで「本物」って意味があるそう。
 マッコイ・タイナーがコルトレーンのバンドを離れ、ブルー・ノートで初めて吹きこんだ。リーダー作としては7枚目。
 サイドメンはコルトレーン・バンドの盟友エルヴィン・ジョーンズと、マイルス・バンドを離れる直前の脂がのったロン・カーター、そしてベテランのジョー・ヘンダーソンと鉄壁な布陣で固めた。

 楽曲はすべてタイナーのオリジナル。心機一転、隅々まで自分の音楽にする意気込みが伝わる。
 強いタッチのピアノを、隙間なくドラムが埋める。ベースもぐいぐい押した。ヘンダーソンのサックスは少し線が細く、物足りない音色ながら譜割だけならばバッチリ。
 饒舌さはコルトレーンを少しは意識かも。このメンツはアルフレッド・ライオンの好みもかなり反映してる気もするけれど。

 めちゃくちゃ長く各曲を演奏ではないが、実際の演奏はもっと盛り上がったようだ。フェイドアウトで終わる場面が悲しい。
 いかにもブルーノートらしいコントロールされた構成がもどかしい。全尺でも聴いてみたい。

 こういうきっちりした企画の路線はタイナーの趣味に合ったようだ。本盤から彼の快進撃が始まった。
 熱っぽいグルーヴの奥には、渋く光るブルーズのうねりがある。フリーへ安易に頼らず、ストレート・アヘッドの愚直な難しさにタイナーとバンドはまっすぐ向かい合った。

 ときおりヨレるドラムながら、叩きまくりのめちゃくちゃ路線ならば、ここまで熱く頼もしいジャズになっていなかった。パーカッシブにピアノを弾きまくっていてもだめ。
 タイナーもジョーンズも、コルトレーンの求道的なフリーを踏まえながらも、本盤ではあくまでオーソドックスなジャズで勝負してる。

 速いテンポなら力押しで行く。バラードならロマンティックに飾った。
 ミドル・テンポの凄みこそ、本盤の魅力。A2の重心を低くしてうねるピアノやベースのフレーズが素敵だ。
 スインギーなノリがひねった譜割で浮遊するB3での、のどかなテンポでくるくる跳ねる展開も楽しい。



Track list
A1 Passion Dance 8:45
A2 Contemplation 9:10
B1 Four By Five 6:35
B2 Search For Peace 6:25
B3 Blues On The Corner 6:05
 

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