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Masada 「5:Hei」(1995)

 本盤のセッションでマサダの隙は無くなった。

 バンド・アンサンブルが強固になり、ぎこちなさも消滅。どんな展開でも可能になった。
 マサダの5と6は前回のセッション、94年6月22日から約1年後、95年の6月16日と17日にニューヨークで行われた。
 
 もともとマサダはアルバムごとの違いって、さほどない。ずっと高いレベルが維持されている。敢えて探すならば、最初のセッション(1st~4th)よりも、本盤ではアンサンブルがこなれた気がする。

 一年間でどのくらいライブを重ねたかは分からない。だがその慣れよりも、そもそもジョン・ゾーンをはじめとして、全員が優れたミュージシャンぞろい。アルバムごとの進歩をことさらに探すのもあまり意味は無い。
 単にゾーン以外のメンバーが本セッションで、マサダのアンサンブルのお約束に慣れたのだろう。

 具体的には、互いのソロのときフロント二管がちょっかい出し合う比率が高まった。前のセッションではゾーンはのびのびやってたけれど、デイブ・ダグラスが遠慮がちに感じた。
 それとリズム隊がさらに奔放になった。互いの立ち位置を自由にして、軽やかにアンサンブルを成立するアレンジを、軽快に操る。
 特にグレッグ・コーエンのベースが重要な役を担った。

 たとえば(2)や(4)ではベースのオスティナートを軸に、アドリブがしなやかに絡む。
 一方で(3)だとベースは独立して、テンポ感を揺らす。ベース、ドラムがリズム・キープから離れ、フロントもソロ回しに拘らない。

 アンサンブル形態はピアノ・レスのオーソドックスなカルテット。しかしフリー要素をどんどん取り入れ、なおかつ聴きやすさを保つ。
 アラビックな、もしくはクレヅマーなユダヤ要素を明確にしたうえで。

 ゾーンは本セッションで、外部の血も新たな音楽要素も投入しなかった。単純にMasadaのコンセプトを深化させ、煮詰めた。

 スローとアップを曲で使い分け、メリハリを出すアルバム構成は過去作を踏襲。ただし本作はテンポがゆっくりめに幕を開け、じわじわと聴き手を作品世界へ誘った。
 派手な飛び道具無しに、マサダの風景へ招き入れられるとのゾーンの自信がなせるものか。

 (5)の11分、(8)の8分越え以外は、数分程度とコンパクトにまとめた。アップテンポな曲もあるけれど、本盤はスケール大きくゆったりした印象を受ける。

Track list
1 Paran 5:12
2 Halisah 6:27
3 Yoreh 6:50
4 Beeroth 4:12
5 Hobah 11:38
6 Neshamah 6:05
7 Lakum 3:11
8 Makedah 8:35
9 Hafla'ah 4:55

Personnel:
John Zorn - alto saxophone
Dave Douglas - trumpet
Greg Cohen - bass
Joey Baron - drums

Recorded at Power Station, NYC on July 16 & 17, 1995.

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