TZ 7372:John Zorn"The Crucible"(2008)

ジョン・ゾーン流のルインズをやりたかったように聴こえてならない。トリオ編成のムーンチャイルド・シリーズの3rdはジョン・ゾーンとマーク・リボーを曲ごとにゲストに招いた。ハードコアかつユニゾン疾走が、粘っこいグルーヴで楽しめる一枚。


ヘッドホン推奨。譜面ものを軽やかに演奏するテクニックが、明確にわかる。変拍子の嵐がかっこよく、さらにユニゾン大会で唸らせる仕組みだ。

アルバムを通して即興要素は凄く希薄。いくつかのソロとサックスを除いて、基本は全てが譜面化されている。ドラムはある程度フリーかもしれないが。

野太くディストーションかかったベースを軸にドラムがうねり、パットンが不規則な叫びを叩きこむ。ぴたり揃った絶妙のアンサンブルへ、ゾーンやリボーが楽器を載せた。もっともリボーは(4)のみの参加。後の曲は全てゾーンのフリーキーなアルト・サックスが聴ける。

パットンの声はダビングもあり。よって奔放なテーマの旋律でも、サックスやベースと声がピタリ合うのは声を後かぶせだろうか。ゾーンはフリーに吹いてる場面もあるが、リボーの参加した(4)で、楽曲のアレンジっぷりにやられる。

(4)ではテーマからいきなりギターとベースがユニゾンで弾き倒した。まったくずれない。ルインズやそれこそネイキッド・シティのようなスピードは求めない。むしろじっくりとロックなリフを決めていく。アドリブ要素は非常に希薄で、合間にパットンのシャウトを入れながら、ハードロック風のフレーズが山のように降り注ぐ。中盤のギター・ソロでは、ベースがしっかり自己主張してアンサンブルに乱れはない。

冒頭でルインズに例えたが、叫びはいつものパットン節。絶叫と喉を締めたランダムな絞り出しが混在する。言葉や意味を廃してるが、ごくたまに日本語含めた言葉に聴こえてしまい、奇妙なソラミミ感の面白さもあり。

サックスと声のユニゾンもすごい。ジョン・ゾーンは一発録音を好む印象だが、ここまで揃うもの?叫びとフラジオの音程が合い、溶け合う瞬間が快感だ。やはりこれもヘッドホン推奨。

[Moon Child discography]
Astronome (2006)
Moonchild: Songs Without Words (2006)
Six Litanies for Heliogabalus (2007)
The Crucible (2008)【本作】
Ipsissimus(2010) 
Templars: In Sacred Blood(2012)

Personnel:
Joey Baron: Drums
Trevor Dunn: Bass
Mike Patton: Voice
John Zorn: Alto Sax
Marc Ribot: Guitar on 4

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