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Four Tops 「Still Waters Run Deep」(1970)

 ごった煮なコンセプトだが、良カバーを収録してる。

 モータウン時代後期のアルバムで、この時期のプロデュースは全てノーマン・ホイットフィールドの弟子、フランク・ワトソンが務めていた。

 シングルはA1とA3。このA3が素晴らしく良いアレンジだ。フォー・トップスがリーヴァイ・スタッブスに頼り切らず、節々にボーカルを歌い継ぐ。その繊細さと凝った流れが抜群の仕上がりだ。
 「ディリリリッ」ってフレーズも、とってもかっこいい。

 ぼくがフォー・トップスを初めて聴いたのはベスト盤だった。"Reach out"や"Bernadette"のパンチ力にもしびれたが、最初に好きになったのはこのA3だった。
 最初はカバーと知らずに聴いていたっけ。オリジナルは58年にトミー・エドワーズが歌った。作曲家の一人、チャールズ・ドーズはのちにアメリカの副大統領に就任したことで有名。

 この歌い継ぐボーカル・スタイルをアルバム全体に広げてくれたら、本盤の出来がますます良くなったろうに。逆になぜこの曲だけ、全員をフィーチャーした歌いかたなのか。謎は深まる。歌声は文句なし。
 ジェイムズ・ジェマーソンと思しき太いベースの音色が、ストリングスもかぶさる分厚いアレンジをものともせず存在感出した。

 ただし他のカバー曲はいただけない。フレッド・ニールの68年作をカバーしたA4は、カントリー寄りでフォー・トップスの頼もしさがあまり生かされてない。
 ボブ・リンドが75年に歌ったB2のカバーは、太い歌声は良いけれど弦アレンジがやたら流麗で、華美に過ぎる。もう少し泥臭さが欲しいな。

 このアルバムがカントリー寄りってわけでもない。スモーキー・ロビンソンとフランク・ウィルソンの甘いA1での幕開けはメロウで気持ちよい。
 A1のフェイド・アウトから、コンガの独奏でつながるA2への流れは、むやみにドラマティック寄りながら、初期フォー・トップスらしい華やかさとパワフルさを兼ね備えた。  まさにA2をかいたH=D=Sのカラーが明確に出てる。

 A3とA4は前述の通り。落差はあるがA3がベストの楽しみ。A5もモータウン流のかっちりしたメロディの曲だ。
 B1の幕開けは鮮やかな一方で、A5ほどモータウン色を出さない。洗練さを強調した、少し大人の路線。

 これまた前述のようにB2は淑やかなアレンジと野太い歌を対比させ、軽く平和なムードを演出した。
 いかにも時代な響きの鍵盤にストリングスがかぶさるB3も、土性骨を抜いてスマート寄り。
 リーヴァイがシャウトしても、バックの穏やかさで流麗な空気が勝つ。

 B4もむしろメロウ寄りでフォー・トップスらしくない。でも、この曲はポップで意外と耳に残る。ちなみにベースが音数多く弾んでおり、けっこう聴きもの。
 そしてB5はA1と関連を持たせる。テンポを落として静かに幕を下ろした。

 A1とB5で挟み、トータル性を出したのはニュー・ソウル時代を意識したコンセプト性だろう。けれども楽曲のトーンがまちまち、パワフルなフォー・トップスの魅力を生かしたとも言いがたい。
 歳を重ねたファン向けに、新機軸なり大人なフォー・トップスを演出かもしれないが、何とも煮え切らず。散漫かつ薄味に感じてしまった。
 
 とはいえ本盤、A3を収録してくれただけで存在価値はある。あと、A1やB4も聴きもの。

Track list
A1 Still Water (Love) 2:57
A2 Reflections 3:20
A3 It's All In The Game 2:44
A4 Everybody's Talking 2:53
A5 Love Is The Answer 2:27
B1 I Wish I Were Your Mirror 2:59
B2 Elusive Butterfly 2:58
B3 Bring Me Together 2:57
B4 L.A. (My Town) 2:58
B5 Still Water (Peace) 2:39

Personnel:
Four Tops - Abdul Fakir, Lawrence Payton, Levi Stubbs, Jr., Renaldo Benson
Arranged By - David Van De Pitte, Jerry Long, Jimmy Roach
Producer - Frank Wilson

The Funk Brothers - instrumentation
Marv Tarplin - guitar
Brenda Joyce Evans, Billie Rae Calvin, and The Andantes - additional backing vocals

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