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Impressions 「Keep On Pushing」(1964)

 至高の傑作。軽やかなグルーヴと滑らかなハーモニー、そして素敵なメロディ。

 インプレッションズの中でも最高の一枚。隙が無く、R&Bからソウルに向かう架け橋として、充実した完成度を作った。
 カーティス・メイフィールドとして全盛期は70年代初期に譲る。この時期には歌手としてプロデューサーとして作曲家として、たくさんの名曲を作っていつつも、どこかR&Bのくびきから逃れていなかった。

 それは時代のせいかもしれない。量産体制ゆえの粗さかもしれない。しかし本盤では、お仕事としての製作をしつつも、ロマンティックなムードを存分に披露した。
 サム・クックに通じる洒落て、大人しいムードが基調だ。汗まみれの熱い情感をぶつけない。
 コンボ編成にもこだわらず、弦を混ぜて豪華な作りを施す。
 その一方で、ゴスペル的な純朴さを見事にポップ・ソングのフィールドに流し込んだ。
 全12曲、(4)でAlice Beardと共作、(7)でゴスペル伝承歌を取り入れた以外は、カーティスのオリジナル曲。
 本盤に詰まってるのは、ゴスペルのコール&レスポンス。猛烈な感情の炸裂を抑え、形式は保ちながらも上品にまとめた。
 線の細いカーティス自身の歌声を生かすためか。

 ふくよかなメロディは、アイディア一発の力技な節回しもそこかしこにある。R&Bの形式から放たれてはいない。その一方で、汗まみれのシャウトなアップや、ベタ甘のバラードとも一線を画した、ミドル・テンポが並ぶ。

 このスタイリッシュさが、本盤でインプレッションズが表明した美学だ。
 個性的ではありながら、まだこの時代は本当の意味で個性をサウンド・アレンジに込めてはいない。だからまとめて聴いてると地味に感じることもあるけれど。
 それでもインプレッションズの醸し出す、乾いて洒落た魅力が確かに輝いた。捨て曲が持つ荒っぽさは本盤に無い。一曲一曲、定型を意識しながらも個性を込めている。


Track list
1 Keep On Pushing 2:30
2 I've Been Trying 2:45
3 I Ain't Supposed To 2:28
4 Dedicate My Song To You 1:52
5 Long, Long Winter 2:48
6 Somebody Help Me 3:15
7 Theme From Lillies Of The Field (Amen) 3:25
8 I Thank Heaven 2:30
9 Talking About My Baby 2:33
10 Don't Let It Hide 2:20
11 I Love You (Yeah) 2:07
12 I Made A Mistake 2:31

Personnel:
Curtis Mayfield - vocals, production
Fred Cash - vocals
Sam Gooden - vocals
Johnny Pate - arrangement

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