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Smokey Robinson & the Miracles 「Flying High Together」(1972)

 正に花道。スモーキー脱退の最終アルバム。カバーを多くして間口を広くした。

 Wikiによるとスモーキー・ロビンソンが本盤でミラクルズを卒業の理由は、モータウンの副社長業へ専念のためとある。背広組になるため歌手業を絶頂で引退するとは。すごい理由付けだ。
 もっとも翌年に"Smokey"(1973)でソロとして、スモーキーは歌手業を再開する。
 副社長業に専念うんぬんの発表は、単に低迷気味なミラクルズから抜ける口実だったのかもしれない。

 本盤は全11曲。チャイ・ライツのB1、スタイリスティックスのB5と違う派閥のソウル・ヒットに目配りってとこか。
、さらにマイケル・ジャクソンのレパートリーとしてA2、B4。そしてマーヴィン・ゲイとタミー・テレルが68年に歌ったをB2をカバーした。

 スティーヴィー・ワンダーとシリータ・ライトのA6,B3は本盤への書き下ろしのようだ。両曲のプロデュースもスティーヴィー。
 残るA1,A3~A5がオリジナル曲か。ジョニー・ブリストルらが曲を書いた。

 スティーヴィー・ワンダーの極初期プロデュース曲を収録したのが、売りといえる。 独特の世界観でアルバムの良いアクセントになった。
 彼がプロデュースしたA6,B3は貴重。彼のディスコグラフィーをたどるとわかるが、たぶんこれが初の外部プロデュース曲。
 スティーヴィーはシリータ以外には、プロデュースをほとんどやっていない。レーベル側の意向だとしても、本曲で仕事をしてくれたことは嬉しい。
 この時代ならではで、楽曲は彼とシリータの共作だ。

 今の耳だとスティーヴィーの曲へ興味が行く。A6はいかにもスティーヴィらしい、というか別の曲が頭に浮かぶ。これまでの彼の曲を焼き直したかのよう。
 ストリングスがしっとり鳴るアレンジは、癖の強いメロディをふくよかに表現した。

 B3は幾分ファンキー。挑戦的な和音の響きに、スティーヴィーの右肩上がりな勢いを感じた。演奏は抑えめで、熱く盛り上がらず柔らかく仕上げた。
 シンセがぽっこぽっこ鳴ってるけれど、これもスティーヴィーの演奏かな?バッキング・ボーカルも幻想的に響いてきれいだ。こっちのほうが、ぼくは好き。
 
 半数が近年にヒット曲のカバーと安易な企画に思えるけれど、これは例えば"What Love Has...Joined Together"(1970)とは一転して、溌剌としてる。楽しめた。
 全部オリジナル曲にするほど、スモーキーは本盤へ力を込めてない。プロデュースもA2とB4のみ。
 しかしこのとき32歳で、彼の喉は衰えていない。かぼそくも滑らかな歌声を、のびのび聴かせた。パワフルな旋律が得意なアシュフォード&シンプソンの曲を、切なく歌い上げるB2が愛おしい。

 アレンジは弦や管で甘く仕上げたが、モータウン印でキャッチーなグルーヴをファンク・ブラザーズが作った。少し大人しくなったとはいえ、60年代全盛期の節操無くヒット曲を量産する気概な、モータウンのノリがきちんと出てる。

 当人たちや背広組にスモーキーのミラクルズ脱退は、どのていど感慨があったのだろう。来るべきもの、とあっさり受け止められたのではないか、と想像する。チャート・インパクト的にも、どちらかと言うと懐メロ・グループ扱い。時代を牽引はしてなかったっぽいし。

 本盤のコンセプトは幾分、散漫。とはいえスモーキーという歌手を存分にアピールした上で、カバー曲満載で敷居を低くした。この辺が、スモーキーを気持ちよく卒業させるにふさわしい、花道っぽい作りと思ったしだい。
 切ないムードのバックとハーモニーに、ファルセットが映えまくった。



Track list
A1 I Can't Stand To See You Cry 3:18
A2 Theme From Love Story 3:30
A3 We've Come Too Far To End It Now 3:25
A4 Flying High Together 2:50
A5 With Your Love Came 3:07
A6 It Will Be Alright 3:09
B1 Oh Girl 2:57
B2 You Ain't Livin' Till You're Lovin' 2:56
B3 We Had A Love So Strong 2:54
B4 Got To Be There 4:30
B5 Betcha By Golly, Wow 4:38

The Miracles
Smokey Robinson - lead vocals
Claudette Rogers Robinson - backing vocals
Pete Moore - backing vocals
Ronnie White - backing vocals
Bobby Rogers - backing vocals
Marv Tarplin - guitar

Additional
The Funk Brothers - other instrumentation
H.B. Barnum - arranger
David Van De Pitte - arranger
Eddie Nucilli - arranger

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